幼児期に「自分に自信を持つ」ようになるまでの三段階
成人とはちがう小さな子でも、実は、人間の心の働きは同じなので「自信のある子」というのは、何かをやりとげられており、その結果を手に入れた子なのだ。何か遊びを考えつき、やってみて、その結果を手にすることをくり返して来た子である。
先にも述べてきたが、砂遊びを例にとると「橋をつくる」と考えるとすると、橋をつくるには、どうしたらよいか考え、砂を水で固めたり、いろいろな工夫をして橋らしき形をつくりあげる。
このような遊びが「何かをやれる自分」「考えたとおりの事ができる自分」という意識を強めるのだ。
要するに、自分に自信を持つのである。幼児期に、自由遊びを通して①考え出す②やってみる③成果を手にする……という、この三段階をやり通す事が少ない子がいる。
又、この例に挙げたB介君のように途中で、うまくゆかなそうな時には、母親に手出しをされたり、何とか成果が手に入ってもケチをつけられたりするなら、「自信」は無い人間に育ってしまうのである。
B介君の母は、なるべく“頭を良くしたい”という考えにこり固まっているために、さまざまな知育用具を家に持ち込み、B介君が興味がなくてもやるよう強制したりしたのだ。たまたま彼が興味を持ちだしたら、今度は、母親はそれを彼の好きにやるようにまかせずに、ねじ曲げてしまうのである。
要するに、自分の求める結果の方に急いで、強制的に、子供に結論を押しつけるのだ。
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村山 和世
1945年12月東京生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科西洋哲学専修を卒業。
1984年に東京都府中市に個別指導塾を開設。開設当初より、多くの不登校や引きこもり、学力不振などの問題の相談を受け、数十年にわたり、その原因の分析、究明を続けて今に至る。