「iDeCo」はすぐに節税効果が出せる
次に「iDeCo」のしくみを説明します。「iDeCo」とは、正式名称の「個人型確定拠出年金」から読み取れるように、個人でお金を出して作る年金のこと。いわゆる「じぶん年金」です。
「iDeCo」に加入すると、毎月一定のお金を掛金として支払い、これを運用した金額を原則60歳以降に受け取れます。
「iDeCo」の掛金をどのように運用するかは、自分で選択できます。金融機関ごとに「iDeCo」の運用商品を複数用意しており、これを大きく分けると「元本確保型(定期預金・保険)」と「価格変動型(投資信託)」の2種類になります。
この2つのうち、できれば投資信託を選ぶようにしましょう。というのも、元本確保型は利益を得るという意味では力不足であり、運用益が非課税になるメリットが十分に活かされないからです。
投資信託で長期的に投資を続ければある程度確実にリターンを狙えます。しかも、運用益は非課税なわけですから、「iDeCo」のメリットを活かすなら価格変動型が合理的です。
なお、どうしても価格変動型では不安という場合は、価格変動型と元本確保型を組み合わせる方法があります。たとえば投資額の半分を価格変動型にして、残りを元本確保型にするといった形です。
「つみたてNISA」と「iDeCo」の使い分け
「つみたてNISA」と「iDeCo」は併用できるので、お金に余裕があればどちらも活用したいところです。たとえば勤務先に企業年金がない会社員の場合、「iDeCo」と「つみたてNISA」を最大限使うと月々5万6,000円ほど投資できます。
仮にこれを20年間、平均利回り5%で運用したとすると運用益は約960万円。本来はこの20.315%が税金として取られるはずですが、非課税になります。
ただ、すぐにそれだけのお金を出せないという場合、どちらか一方を選ぶか、併用しつつ積立額を抑えることになるでしょう。この場合、「つみたてNISA」と「iDeCo」の違いを踏まえて考える必要があります。
これら2つの制度はそれぞれ一長一短があり、「こちらを絶対に優先すべき」とは言えません。
単純な節税効果は、普通は「iDeCo」のほうが高くなります。というのも、第3章で説明したように、「iDeCo」の掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、所得税や住民税の計算上、差し引くことができるからです。
たとえば年間50万円を「iDeCo」の掛金として出した場合、その人の課税所得から50万円が差し引かれるので、税金が少なくなります。50万円に税率を掛けた分だけ減税されるということです。
しかし、「つみたてNISA」の投資額は、税金の計算に影響しません。「iDeCo」のように、投資額がそのまま節税効果につながらないのです。