知らないと大損!「申告誤り」多発で税務署が目を光らせる…自分と家族にかかわる「6つの所得控除」【元国税専門官が解説】

知らないと大損!「申告誤り」多発で税務署が目を光らせる…自分と家族にかかわる「6つの所得控除」【元国税専門官が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

サラリーマンの給料や退職金は上がらず、その反面、税金や社会保険料等の負担は増大しています。今やサラリーマンにとって、自衛手段として能動的に「節税」することが欠かせません。本記事では元国税専門官である小林義崇氏が、新刊著書『会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて』(PHP研究所)から、サラリーマンが利用できる「人」に着目した「所得控除」の制度について解説します。

ひとり親控除・寡婦控除

シングルファザーやシングルマザーを対象にした所得控除が、「ひとり親控除」です。ひとり親控除の控除額は一律35万円に設定されています。

 

2020年にひとり親控除が新設される前は、未婚のシングルファザーやシングルマザーが対象になる控除がなく、子どもの貧困問題につながると問題視されていました。

 

そこで「ひとり親控除」ができ、たとえ民法上の婚姻の事実がなくとも、子育てをしていれば控除を受けられるようになったというわけです。

 

また、このひとり親控除とは別に、夫と離婚や死別をして再婚をしていない女性に対して「寡婦控除」として27万円の控除が用意されています。

 

ひとり親控除と、寡婦控除は、いずれか一方しか使えません。人によってはどちらの控除も条件を満たす場合がありますが、この場合は控除額の多いひとり親控除が優先されます。

 

このように2つの控除は複雑なので、次のように判断するといいでしょう。

 

・子を扶養しているシングルファザーまたはシングルマザー ⇒ ひとり親控除

・夫と死別した ⇒ 寡婦控除

・夫と離婚し、両親やきょうだいなど子以外の親族を扶養している ⇒ 寡婦控除

 

ひとり親控除と寡婦控除にも所得金額の制限があります。ひとり親控除の場合、親の合計所得金額が500万円以下、子の総所得金額が48万円以下である必要があります。

 

一方、寡婦控除も本人の合計所得金額が500万円以下である必要がありますが、扶養親族の所得に関する条件はありません。

障害者控除

自分自身や、同一生計の配偶者・扶養親族に障害がある場合、障害者控除を利用できます。

 

障害者控除は、収入に関する条件はなく、障害の程度や同居の有無に応じて控除額が決まるしくみになっています。

 

[図表6]障害者控除

 

障害者と特別障害者の判定は、公的な障害者認定に基づき行われます。たとえば身体障害者手帳に身体上の障害がある人と記載されていれば、障害者控除を受けられます。

 

そのうえで、障害の程度が1級または2級と記載されていれば、特別障害者になるといった形です。

 

このような判定は国税庁のサイトにある障害者控除の説明ページで確認できますが、不明点があれば障害者手帳などを持参して税務署で相談したほうがいいでしょう。

 

 

小林 義崇

マネーライター

 

会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて

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小林 義崇

PHP研究所

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