(写真はイメージです/PIXTA)

国内経済は、民間消費を軸に回復基調にある。住宅市場は、マンション等の販売状況がやや弱含むなか、価格の上昇ペースが鈍化している。オフィスセクターの調整は小休止した。東京23区のマンション賃料は、コロナ禍における調整局面を脱している。ホテル市場はコロナ禍前の水準を回復した。物流賃貸市場は、首都圏の空室率が上昇した一方、近畿圏の空室率は横ばいとなった。ニッセイ基礎研究所の佐久間誠氏によるレポートです。

1―経済動向と住宅市場

2022年10-12月期の実質GDPは、前期比+0.2%(前期比年率+0.6%)と2四半期ぶりのプラス成長になった。民間消費が堅調を維持する一方、設備投資と住宅投資が減少し国内需要は5四半期ぶりに減少したが、訪日客数の増加からサービス輸出が高い伸びを示すなど外需がプラスに寄与した。

 

ニッセイ基礎研究所は、2月に経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は2022年度+1.3%、2023年度+1.0%、2024年度+1.6%を予想する。実質GDPが直近のピーク(2019年7-9月期)を上回るのは、2024年4-6月期になると予想するが、金融引き締めに伴う欧米の景気後退や中国経済への懸念、冬場の電力不足による経済活動の制限など下振れリスクの高い状態が続く見通しである。

 

住宅市場では、マンション等の販売状況がやや弱含むなか、価格の上昇ペースが鈍化している。2022年10-12月の首都圏のマンション新規発売戸数は11,391戸(前年同期比▲19.5%)となった。2022年の販売戸数は29,569戸( 前年比▲12.1%)となり、2021年(33,636戸)を下回った。

 

2021年10-12月の首都圏の中古マンション成約件数は8,704件(前年同期比▲10.6%)となった(図表1)。2022年の成約件数は35,429件(前年比▲11.0%)と2021年の39,812件から減少した。成約件数が減少し在庫戸数が11カ月連続で前年同月を上回るなか、取引価格は1桁の上昇率まで鈍化している。

 

【図表1】
【図表1】

2―地価動向

地価は、住宅地の上昇が継続し、商業地についても上昇の裾野が拡大している。国土交通省の「地価LOOKレポート(2022年第3四半期)」によると、全国80地区のうち上昇が「65」( 前回58)、横ばいが「14」( 前回17)、下落が「1」( 前回5)となり、住宅地は前期に続いて全ての地区が上昇となった。同レポートでは、「住宅地では、マンション需要に引き続き堅調さが認められたことから上昇が継続。商業地では、店舗系の地区を中心に、人流の回復傾向を受け、店舗需要の回復が見られたことなどから上昇地区数が増加した」としている。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年3月7日に公開したレポートを転載したものです。

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