(写真はイメージです/PIXTA)

国内経済は、民間消費を軸に回復基調にある。住宅市場は、マンション等の販売状況がやや弱含むなか、価格の上昇ペースが鈍化している。オフィスセクターの調整は小休止した。東京23区のマンション賃料は、コロナ禍における調整局面を脱している。ホテル市場はコロナ禍前の水準を回復した。物流賃貸市場は、首都圏の空室率が上昇した一方、近畿圏の空室率は横ばいとなった。ニッセイ基礎研究所の佐久間誠氏によるレポートです。

3―不動産サブセクターの動向

1|オフィス

三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」によると、2022年第4四半期の東京都心部Aクラスビル成約賃料(月坪)は28,594円(前期比+4.4%)に上昇し、空室率は3.6%(前期比▲0.4%)に低下した(図表2)。但し、三幸エステートは、「賃料は6期ぶりで上昇したものの、緩やかな低下傾向に変わりはない」としている。

 

【図表2】
【図表2】

 

ニッセイ基礎研究所・クロスロケーションズ「オフィス出社率指数」によると、東京都心部のオフィス出社率は2022年12月末時点で67%となった(図表3)。2022年8月に新型コロナウイルスの感染拡大第7波がピークアウトしたことでオフィス回帰が緩やかに進んでいるが、オフィスと在宅勤務を組み合わせたハイブリッドな働き方が定着しつつあるなか、コロナ禍前の水準を回復するには至っていない。

 

【図表3】
【図表3】

2│賃貸マンション

東京23区のマンション賃料は、コロナ禍における調整局面を脱している。三井住友トラスト基礎研究所・アットホームによると、2022年第3四半期は前年比でシングルタイプが+1.5%、コンパクトタイプが▲0.6%、ファミリータイプが+6.6%となった(図表4)

 

住民基本台帳人口移動報告によると、2022年12月の東京23区の転入超過数は▲1,829人となったが、2022年全体では+21,420人と、2021年の転出超過(▲14,828)から1年でプラスに転換した。

 

【図表4】
【図表4】

3│商業施設・ホテル・物流施設

商業セクターは、百貨店を中心に売上が回復している。商業動態統計などによると、2022年10-12月の小売販売額(既存店、前年同期比)は百貨店が+6.0%、コンビニエンスストアが+5.9%、スーパーが+2.3%となった。

 

ホテルセクターは、全国旅行支援や水際対策緩和を背景に宿泊需要が順調に回復している。宿泊旅行統計調査によると、2022年10-12月累計の延べ宿泊者数は2019年対比で▲6.4%減少し、このうち日本人が+6.1%、外国人が▲58.4%となった(図表5)。12月の延べ宿泊者数は2019年対比で▲0.2%、うち日本人が+8.3%、外国人が▲35.4%と、宿泊者数はコロナ禍前の水準を回復した。

 

【図表5】
【図表5】

 

物流賃貸市場は、首都圏の空室率が上昇した一方、近畿圏の空室率は横ばいとなった。シービーアールイー(CBRE)によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率(2022年12月末)は前期比+0.4%の5.6%となった(図表6)。2023年の新規供給は約91万坪と過去最大となる見込みで、今後しばらくは需給の緩和基調が継続し、空室率は一段と上昇する見通しとのことである。近畿圏の空室率は1.7%(前期比横ばい)と低い水準を維持しており、空室を抱えた物件はわずか4棟と逼迫した需給環境が続いている。

 

【図表6】
【図表6】

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年3月7日に公開したレポートを転載したものです。

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