「働く仲間のみなさんへ」幹部5人が社員に向けて書いた手紙の中身

【実例】地方の中古車販売会社の事業承継②

「働く仲間のみなさんへ」幹部5人が社員に向けて書いた手紙の中身
(※写真はイメージです/PIXTA)

社員は幹部や会社に不信感を持ったままです。「幹部大学」では、今までの反省と謝罪、そしてこれから良い会社にする決意とそれに対する協力のお願いを手紙にして社員に渡すことが決まりました。経営者たちが抱える「組織変革」の悩みを組織改革コンサルタントの森田満昭氏が解説します。

「働く仲間のみなさんへ」と題した手紙

■反省とお詫び

 

私たちは社員の皆さんへの感謝の気持ちが足りていなかったことに気がつきました。そして以下のことについて真摯に反省しています。

 

・困ったときに相談したくても声をかけにくい振る舞いをしていました。
・頼まれたことをすぐに解決せずに後回しにしていました。
・自分の意見や価値観を押しつけ、皆さんの意見や価値観を認めていませんでした。

 

■改善点

 

そして社員が働きやすい良い会社をつくっていくために反省点を改善し、以下の項目を前向きに頑張っていくことを約束します。

 

・どんな小さな困り事にも必ず耳を傾けていきます。
・ 社員一人ひとりの意見を吸い上げて、できる限り実現していきます。すぐに応えられない場合は、なぜできないのかを丁寧に説明をします。
・人材育成を大切にする会社をつくっていきます。
・ 皆さんの頑張りを認め感謝するとともに、その気持ちが今まで以上に伝わるように努力します。

 

■ご協力のお願い

 

 

良い会社にするためには皆さんの声と力が必要です。

・どんな会社にしていきたいか、皆さんの率直な意見を聞かせてください。
・現場で感じている不満や悩みについて、いつでも率直な意見や気持ちを教えてください。
・さまざまな問題や課題に対してポジティブに考え、その解決に向けて私たちに協力してください。

私たちは組織改善に一生懸命取り組みます。働いて良かったと感じる会社にするために、ご協力をよろしくお願いします。

 

■決意も新たに動きだした組織の変化

 

こうして決意を新たにした幹部の呼びかけで、会社設立以来、初めて全社員が会社の未来を話し合うワークショップが開かれることになりました。

 

それまでは経費にうるさい社長の顔色をうかがって幹部やリーダーたちのワークショップや集まりもいちばん安い会議室を借りていましたが、今回はいちばん良いところにしようと市内の一等地にあるきれいで明るいホールを借りることができました。

 

記念すべき1回目は、5人の幹部それぞれが良い会社をつくりたいと語るところから始まり、そして「今日はみんなの本音を聞かせてもらいたい」とお願いしました。最初は無関心だった社員たちが、丸一日かけて自分たちはどんな会社をつくりたいのかを考えてくれて、未来を前向きに語り合ってくれたのです。

 

「今までなにも変わらなかった。またきれいごとを言っているのではないか」という不信感はあったものの、半数近くの人が「いい会社になるよう協力したい」「自分にできることをやっていきたい」と、期待をもち始めました。

 

次ページ社員の間に蔓延していた不満が消えた

※本連載は、森田満昭氏の著書『社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方

社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方

森田 満昭

幻冬舎メディアコンサルティング

売上の拡大、コスト削減、新規事業の創出…「自走型組織」が会社の未来を切り拓く! 組織変革のプロが教える自走型組織の作り方とは──。 自走型組織とは、社員が自ら考え、動く組織のことを指します。多くの経営者にとって…

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