【Jグランドの人気WEBセミナー】
税理士登壇!不動産投資による相続税対策のポイントとは?
<フルローン可>「新築マンション」×「相続税圧縮」を徹底解説
4人目のコンサルタントが実行したこと
■会長から依頼されて二代目社長の信頼を得る
「二代目社長が幹部をマネジメントできないからなんとかしてやってくれ」という会長、つまり創業社長から依頼を受けて私は支援に入りました。その会社は従業員50人ほどで、介護用品販売と5つの訪問介護ステーションを運営していました。しかし幹部の動きがバラバラで、うまく機能していないことを会長が心配していたのです。
二代目社長は営業部長が継承しました。それまでも会長からの紹介で3人のコンサルタントが送り込まれていましたが、社長からの共感が得られずすべて半年以内で契約終了したとのことです。4人目のコンサルとなる私は、二代目社長から見たらお目付け役です。信頼関係を結ぶ必要があるため、私はまず社長にこう言いました。
「私は会長からの依頼でこちらに来ましたが、会長の言うとおりにしようとは思っていません。あなたがやりたい経営の実現をお手伝いしたいんです」
何度かコーチングベースの対話を重ねた結果、社長は私を信頼し「あなたとだったら一緒にやってみたい」と言ってくれました。そうして私は組織変革に着手することになりました。
その会社の幹部は課長以上の5人ですが、会議では誰も意見を言いません。各自が商売のエリアをもっており「エリア内で売上を上げていればいいだろう」と考えていて、まるで個人商店の集まりでした。それぞれの幹部には部下が3~4人いましたが、育成は行われていません。幹部たちの協力体制がまったくできていなかったので、組織的に整えることから始めました。
まず幹部同士の横のつながりを整えました。「私が」という主語を「私たちが」に変化させたのです。彼らは30~40代と若く、素直な人たちです。始めてから半年ぐらいで「私たちの会社を良くしていくのは私たちだ」という空気になり、業務改善や営業戦略を考えようと一丸となっていきました。
しかし、彼らには営業力も企画力も圧倒的に足りませんでした。マーケットリサーチやABC分析といった営業的な知識がまったくありません。売上が上がっても、なにをどう分析し考えていいか分からない状態でした。頑張ろうという気持ちは起きても頑張れない状況だったのです。
そこで私は社内に「幹部大学」をつくりました。部下の育て方や仕事の取り組み方、企画の仕方などを教え始めたのです。みんな熱心に勉強してくれるなか、流れに乗れない幹部がいました。
■本社を悪者にすることで居場所を確保していた幹部
流れに乗れていなかった幹部というのは、訪問介護ステーションの所長です。彼の担当するステーションは頻繁に社員が辞めており、売上も上がっていない状態でした。
しかし着実に組織変革が進むと、彼のステーションでなにが起こっていたのかが表面化していきました。発端はステーションの社員が「会社の未来を考える対話会」に参加し、ありのままを語ってくれたことです。
これまでこの所長は、部下からの要望やクレームを聞くたびに「本社と掛け合ってくる」と受け止めてくれていました。しかし実際は、本社にも社長にも相談することなく、「あの社長はいくら言っても全然聞いてくれない。みんな、悪いけどがまんしてくれ」と社員に言っていたのです。ほかの社員たちは、そのような事実があったことを対話会で初めて知ることになりました。
所長はえびす顔のいかにもいい人で、部下が子育てや介護で仕事に穴をあけそうなときは「俺が助けるよ」と言ってフォローしていました。そうしてみんなをサポートしながら本社を悪者にし、部下たちに対立構造を見せていました。そうして自分の居場所を確保していたことが明るみに出たことで、所長は会社にいられなくなったのです。
会長の代から活躍してくれていた所長の退所は、社長にとっては相当ショックだったようです。しかし組織変革が始まると社内全体の風通しが良くなるので、良からぬ画策は浮かび上がります。関係者が真摯に反省できない場合、離職につながることもあると経営者は覚悟する必要があります。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら