やり直す前提で慰謝料を最小限に…
次にやり直す前提で慰謝料を最小限にする落としどころとのことですが、例えばやませさん夫婦と相手方夫婦の双方がやり直す方向で考えており、かつ夫婦として経済的に一体だとすると、「やませさん配偶者→やませさん不貞相手」と、「やませさん不貞相手の配偶者→やませさん」という請求が成り立ち、結局2組の夫婦の間で慰謝料が行ったり来たりするということになりかねません。
そのような状況になりうることを念頭に置いてよく話し合うということになるでしょう。
次に仮に相手方が離婚を念頭においているのであれば、上記のような慰謝料がクロスするという状況が生じることはないので、やませさんの不貞相手の配偶者は容赦なく(?)やませさんに慰謝料を請求してくることが考えられます。
また不貞行為の結果、相手方夫婦の婚姻関係が破綻したということであれば、慰謝料もそれなりに高額となることがあります。
そうなると一層真摯かつ冷静な対応を要するでしょう。
このような事例では、自身で対応すると双方の感情がもつれてより状況が悪化することがあり得ます。そのような時こそ、弁護士に依頼して冷静な対処をしてもらったほうがよいと考えられます。
現代の「不倫がバレる確率」はかなり高い
不倫はいけないことですが、いつの時代も絶えることがなく生じています。
私もこの手の案件は新米弁護士の頃から現在まで常時抱えています。様々な事例をみて感じるのは、現代になり不倫はより発覚しやすくなった、ということです。
昔はスマホもSNSもなく、配偶者がどこにいて何をしているか分からないということがありました。しかし、今では大抵不倫の相手方とはLINE等のSNSでやり取りしており、さらにそのやり取りを配偶者に見られて発覚することが多いです。
またスマホの位置情報を活用すれば、いつどこにいたのかも分かってしまうでしょう。さらに特に地方都市では、人目を忍ぶ逢瀬でも大体誰かが見ています。
「〇〇さんがショッピングモールで見知らぬ女性と歩いていた」、「〇〇さんの車があそこのアパートの駐車場に止まっていた」みたいな情報が回りまわって〇〇さんの配偶者の耳に届くのです。悪いことはできないものです。
不貞行為の被告側の反論として多いのは、「原告だって不倫している」、「不倫の相手方はもう離婚していると思った(あるいは夫婦関係が実質的に破綻していると思った)」、「不倫の相手方の方から積極的にアタックしてきたので、自分はやむを得ず応じただけだ」というものです。
ただ、原告が不倫しているかどうかはあまり関係がありません。
また既に離婚している、もしくは夫婦関係が破綻していると思ったというものも、本当にそうか、そうだとしてもそう思い込んだことに過失がないか(安易にそう思ったのではないか)という問題があり、原告の請求を完全に免れることは結構難しいものです。
さらには不倫においてどちらが積極的であったかは慰謝料の額に影響するとしても、たとえ全くの受け身の姿勢であっても責任を完全に免れることはできないようです。
不倫は金銭的にはもちろん、家庭的、社会的にも相応の代償が必ず伴うことを理解しましょう。それに尽きます。