(※写真はイメージです/PIXTA)

現状、ブランディングに力を入れている日本のBtoB企業は少なく、まったく行っていない企業すらあります。しかし、BtoB企業こそいますぐブランディングを行うべきと、ブランディングストラテジストの角北裕樹氏はいいます。なぜなのでしょうか、みていきます。

BtoBブランディングに必要な6つのステップ

さて、ここまではBtoBブランディングを行うべき「理由やメリット」について言及してきました。ここからは、BtoBブランディングに必要なステップについて解説していきます。ステップは至ってシンプル。ポイントは「現状と未来の話を混同して考えない」ことです。

 

1. 顧客のニーズやコンディション、自社の価値や資産となり得る要素の棚卸し

2. 自社のありたい姿を定め判断基準を作る

3. ありたい姿を軸に世のなかや顧客のどのような課題を解決したいか妄想する

4. BtoBにおける情緒的要素も含んだ提供価値、コアコンピタンスを定める

5. ブランディングシナリオ、ロードマップを定める

6. 実際に活動し、ブランドを体現していく

 

このわずか6ステップ。そしてこのなかで間違いなく肝となるのはステップ6の「ブランドの体現」です。ステップ1~5についてはいわゆる『WHAT TO SAY』。自社ブランドをどういうかであり、ここまでは比較的とんとんとリズムよく進行します。

 

一方ステップ6はいわゆる『WHAT TO ACT』。自社ブランドをどう体現し、どう活動するか。このフェーズに差し掛かった途端にプロジェクトスピードは一気に減退します。

 

この理由は明白で、1つ目はリーダーシップを取って自社ブランドそのものを牽引し、意思決定できる人材がいないこと。そして2つ目は実際にブランドを体現、活動していく社員にブランディングの戦略そのものを浸透させる術を持っていない、ということ。そしてこれらの課題に共通しているのはBtoBブランディングにおけるプロジェクトデザインに問題があるということです。

 

たとえば1つ目のリーダーシップ人材の課題を解消するために弊社では、「RACIチャート」などさまざまなフレームワークを用いて、プロジェクト内容に応じた最適な進捗管理を図ります。これは責任の所在を明らかにするのはもちろんのことながら、BtoBブランディングに関わる人員や社員の“決心と結束”を作り、プロジェクトそのものに推進力を生むのに有効です。

 

[図表4]RACIチャート(出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)

 

続いて2つ目の、実際にブランドを体現、活動する社員への浸透課題については、プロジェクトそのものを役員や決裁権を持つ人員のみで進めることなく、グループリーダーや課長・係長など現場社員と近しいレイヤーの人材をアサインすることがお勧めです。ともに課題を認識し思考を行う共創型プロジェクトをデザインすることで、社員1人ひとりに当事者意識を植え付け、浸透を図ることができます。

 

前述したとおり、BtoBにおけるブランディングの必要性や重要性がまだまだ認知されていない状態のなか、決まったものや戦略を現場に下ろす、という旧態依然の手法を行っていては、それこそ効率的にシームレスにブランディング戦略の浸透を図ることが難しいためです。

まとめ

ここまでいろいろとお伝えしてきましたが、BtoBブランディングに取り組んでいない、必要性を感じていない企業が多いからこそ、効果が顕著であるのもBtoBブランディングの醍醐味であるといえます。

 

そして売上拡張はもちろんのことながら、“識別化・差別化“を行うことによって「人材採用」や「組織の求心力強化」など、企業そのものの本質的な価値をボトムアップさせる魅力を秘めています。

 

 

角北 裕樹

株式会社 YRK and

ブランディングストラテジスト

 

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