瞬時に判断される「ブランドの価値」
生活者は、実は我々が思うよりもドライにブランドを見ています。企業が努力したそのプロセスや、複雑なビジネスの商流はまったく無視され、その「ブランドの価値」は、驚くほど瞬時に判断されてしまいます。
スマホのなかでは、指先だけで簡単にスキップやブロックされてしまう時代。これは、リアルの店頭でも同じ。強烈に自己主張をしていなければ、その存在にすら気づいてもらえないことも多くあります。しかも、人間は毎日「74%の情報」を翌日には忘れてしまうそうです。
価値のミスマッチ…本来的ではない買い物をする生活者
では、逆はどうでしょう。実は商品に差別優位性や、際立った魅力がなくても、「見せ方のうまさ」や「価格の勝負」「データをベースとしたターゲティング」などで、何度も接触してくるブランドを見たことはありませんか?
そもそも、それらの商品を「ブランド」と呼んでいいかは別として、あまりにもあの手この手で出てくると……つい気になってクリック! なんてことも実際あるのではないでしょうか。継続購買は見込めなくても、興味関心を一時的に惹き、一度だけでも買ってもらおうとする商品も散見されます。
いろいろな価値観があるため、それらの商品を必要と思っている生活者がいるのはいいのですが、本来的ではない買い物をしてしまっているのも事実です。そんな商品のなかに、素敵な魅力のある商品やサービスが埋もれてしまうことは、本当によくない状態です。いわゆる広告のパワーゲームのなかで戦うことになってしまってはいけません。
そのお客様は「顧客」か「ファン」か
では、そんなドライな生活者に、メッセージを伝え続けなければならない負担を、どう最適化していけばいいのか? ここで重要になるのは、「顧客」と「ファン」の違いを明確に掴んでおくことです。
「顧客」と「ファン」の違いは図表3のように定義できます。
「顧客」の場合は、その商品を気に入って購入してくれているので、ほかにいい商品が存在しないあいだは買い続けてくれますが、優れた商品が出れば、気移りしやすい。
しかし、「ファン」の場合は違います。「ファン」とは、その商品を応援してくれているので、次の商品に期待してくれたり、意見をくれたり、一緒に商品を作っていくような行動さえ起こります。すぐに買うかどうかはわかりませんが、その商品の売上以外のあらゆる面を支えてくれる存在なのです。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら