(※写真はイメージです/PIXTA)

現状、ブランディングに力を入れている日本のBtoB企業は少なく、まったく行っていない企業すらあります。しかし、BtoB企業こそいますぐブランディングを行うべきと、ブランディングストラテジストの角北裕樹氏はいいます。なぜなのでしょうか、みていきます。

2.市場競争力が高まる

このロジックを理解するには、まずブランドの構成要素を知る必要があります。ブランドは大きく捉えると「識別記号」と「知覚価値」の掛け合わせで構成されています。

 

「識別記号」とは、その商品や企業などブランドを識別する文字や形、色など生活者や顧客がブランドを識別する際の、記号的要素です。わかりやすいところでいくと、コンセプトワードやステイトメント、ロゴや商品名などがそれにあたります。

 

もう1つの「知覚価値」とは、識別記号を通した際に生活者や顧客がブランドに対して直感的に感じる便益や人格、感覚、事実を指す“言葉”や、“具体的な事実”などです。たとえば「炭酸飲料」といった固有特長や「身体にいいエビデンス」といった科学的根拠。さらには「ナチュラルなテイスト」といった情緒的な趣向がそれに当たります。

 

これら「識別記号」と「知覚価値」が上手く結びついた結果、その企業や商品特有のらしさが抽出されるという方程式が成り立っているのです。

 

[図表2]ブランドは「識別記号」と「知覚価値」からなる
出所:デジタル時代の基礎知識「ブランディング」山口義宏(MarkeZine BOOKS)

 

ここから市場競争力のお話に戻りますが、市場競争力とは『他ブランドよりも優れた価値(優位性)or他ブランドとは異なる価値(独自性・差異性)』を抽出し、市場に認識させることで養われるものです。特にコモディティ化し、優位性が見出しにくくなっている現状の市場において、BtoB企業独自の“らしさ”を見出すことの重要性は高まっているといえます。

 

以下はリサーチデータです(CEBがベンダー企業で働く従業員9,000名に行ったBtoB調査)。『取引を行っているBtoB企業に対して独自のメリットを感じ、またそのメリットを十分に理解しているか』という質問に対して実に86%の顧客が“NO”を突き付けた現実からもBtoB企業がブランディングを行い市場競争力を身に付けていく必要性を読み解くことができると思います。

 

出典:CFB 2009 Customer Experience Survey
[図表3]取引を行っているBtoB企業に対して独自のメリットを感じ、またそのメリットを十分に理解しているか 出典:CEB 2009 Customer Experience Survey

 

続いて3点目に参りましょう。

 

3.ブランディング効果を得やすい、実感しやすい

この答えはシンプルです。さまざまな価値観や多様性、ニーズも多岐にわたり大々的なPRやプロモートもセットで思考する必要があるBtoCブランディングと異なり、ステークホルダーが限定されるBtoBブランディングのほうが、効率的にコミュニケーションを図ることができ、且つ効果にも直結しているからです。

 

言い換えると、取引単価も高く業種や購買プロセスにおけるステークホルダーも限られていることから、識別と知覚の対象(ブランディング)となるターゲット層が狭く、ビジネスを支える効果を圧倒的に得やすい、ともいえるのではないでしょうか。

 

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