著作権のすべてを放棄しているとは限らない
冒頭でも触れたとおり、著作権は非常に細分化されています。これらは、すべてを放棄することができる一方で、一部のみを放棄することも可能です。
たとえば、著作物をコピーして利用できる複製権などは放棄しているものの、そのイラストなどの著作物をLINEスタンプとして販売したり、その写真の著作物をカレンダーとして販売したりすることなどまでは認めていないことが多いでしょう。
また、そもそも単に利用の対価を受け取らないというのみであり、著作権の放棄まではしていないケースも少なくありません。
そのため、利用の際にはあらかじめウェブサイトの利用規約などをよく確認してください。
利用条件に制限がある場合がある
著作権フリーであっても、素材の利用方法に制限がある場合があります。
たとえば、写真素材を一定の枚数以内であれば無料でダウンロードができる「写真AC」の利用規約には、次のような内容が定められています。※3
(1)人物を特定できる写真をポルノグラフィや違法その他の不道徳な目的に使用すること、その人物の評判を落としかねない方法で使用すること、あるいは「お客様の声」のように製品やサービスの推奨者として表示する目的で使用することは認められません。
(2)本サイトの写真のモデル(人物、物品、風景など一切を指します)の特徴、品位、名誉または信用を害する態様での使用はできません。
(3)違法、虚偽あるいは中傷を内容とする記事、映像、宣伝、広告等に関して写真を使用することはできません。
(4)写真を公序良俗に反する方法で使用し、又は公序良俗に反する業務、活動に供する目的で使用はできません。また、公序良俗に反するか否かを問わず、アダルト雑誌やアダルトビデオ(その他、DVD、CD-ROM、WEBサイト等、媒体の如何を問いません)に関して、表紙、パッケージ、記事、映像、宣伝、広告、その他一切の態様による使用はできません。また、ポルノや風俗(合法・違法、営利・非営利、個人・法人、その他態様を問わず、性風俗に関する一切の事項を指します)に関する記事、映像、宣伝、広告、その他一切の態様による使用もできません。
(5)写真をそのまま、または加工して、独立の取引対象として頒布(販売、賃貸、無償配布、無償貸与など)したり、公衆送信(インターネットのホームページや放送などを利用した送信)などを利用して提供することは、営利、非営利を問わずできません。
(以下略)
禁止されている内容や態様で素材を使用することは、利用規約違反や著作権法その他の法律違反となりますので、行わないよう注意しましょう。
素材を配布しているサイトの信頼性を確認する
フリー素材を利用する場合、その素材を配布しているウェブサイトの信頼性が高い場合には、原則としてそのウェブサイトの利用規約を遵守すれば問題ありません。
しかし、なかにはそもそもそのウェブサイト自体が著作権侵害をしているケースも存在します。
たとえば、アフェリエイト広告収入などを目的として、インターネット上で見つけた画像を無断でウェブサイト上に貼り付けて「著作権フリーです」と表記する場合などです。
また、フリー素材を配布するウェブサイトに素材を提供することで対価を受け取れる場合において、遵法意識の低い利用者が報酬目的で他者の著作物を勝手に素材として提供してしまう場合もあるでしょう。
この場合には、ウェブサイト制作者のみならず、このウェブサイトからダウンロードした素材を利用している者に対しても、著作権侵害として利用の差し止め請求や損害賠償請求などがなされる可能性があります。
そのため、著作権フリー素材をダウンロードする場合には、配布しているウェブサイトの信頼性を確認しておきましょう。
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