フリー素材でLINEスタンプ販売→罰金1,000万円の可能性も…「著作権フリー」のよくある誤解と注意点【弁護士が解決】

フリー素材でLINEスタンプ販売→罰金1,000万円の可能性も…「著作権フリー」のよくある誤解と注意点【弁護士が解決】
(写真はイメージです/PIXTA)

「著作権フリー」とインターネット上で検索をすると、さまざまなウェブサイトが見つかります。ホームページの開設時やブログ記事への画像挿入など、これらの素材を利用したことがある人も少なくないでしょう。では、著作権フリーとうたわれている素材はすべて自由に利用してよいのでしょうか。Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が詳しく解説します。

トラブルのもと…「著作権フリー」のよくある誤解

「著作権フリー」に関しては、誤解が少なくありません。よくある誤解は、次のとおりです。

 

誤解①:個人がインターネットに投稿した作品は著作権フリー

個人がインターネットに投稿した写真やイラスト、ブログ記事などは、原則としてすべて著作権の対象です。

 

たとえばTwitterなどのSNSに投稿をしたからといって、そのことをもって著作権を放棄したわけではありません。

 

そのため、無断で転載をしたり加工をしたりすれば著作権侵害となります。

 

誤解②:有料で買った雑誌記事などは自由に転載できる

雑誌や新聞記事などにも、著作権は存在します。

 

そのため、たとえお金を払って購入したものであっても、著作権法の権利制限規定にあたらない態様で社内にコピーを配布したり無断でSNSに投稿したりすることは著作権法違反です。

 

なお、著作権法には、事実の伝達にすぎない雑報および時事の報道は著作物に該当しないとの規定があります(10条2項)。

 

しかし、これはたとえば「〇山太郎氏(元〇〇常務)11月1日死去、80歳。」程度の、思想や感情が入り込まない事実報道のみが該当する規定です。

 

実際には「事実の伝達にすぎない」新聞記事や雑誌記事はほとんどありません。

 

誤解③:「著作権フリー」ならどのように利用してもよい

「著作権フリー」であるからといって、自由に利用してよいわけではありません。

 

すべての著作権を放棄しているわけではない可能性があるうえ、著作者人格権の放棄はできないためです。

著作権フリー素材を利用する際の注意点

インターネット上には、著作権フリーで素材をダウンロードしたり利用したりできるウェブサイトがいくつか存在します。

 

では、これらのサイト上からダウンロードしたフリー素材を利用する際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか? 主なポイントは、次のとおりです。

 

著作者人格権は放棄できない

冒頭で解説したように、広義の著作権には狭義の著作権(財産権)のほかに、著作者人格権が存在します。

 

著作権(財産権)は自由に放棄をしたり譲渡したりすることができる一方で、著作者人格権は譲渡したり放棄したりすることができません。

 

そのため、いくら著作権フリーであったとしても、勝手に改変をしたり(同一性保持権の侵害)、著作者が氏名の表示を求めているにも関わらず氏名の表示を勝手に省略したり(氏名表示権の侵害)することは著作者人格権の侵害にあたる可能性がありますので、注意しましょう。

 

なお、なかには一定範囲での改変を認めていたり、氏名の表示を不要としていたりするケースもあります。

 

そのため、素材が配布されているウェブサイトの利用規約などをよく読み、利用規約に違反しない範囲で使用するようにしてください。

 

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※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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