物件価格
まずは物件価格で比較しましょう。新築と中古で比較した場合、区分ワンルームでも1,000~2,000万円程度の差があります。1棟木造アパートでは、さらに差が大きくなり5,000万円程度の違いとなります。
また、区分ワンルームに比べると1棟アパートは最低価格が高いため、資金調達のハードルが上がる点がデメリットです。ローンを利用する場合は、年収700万円以上になると1棟アパートも選択肢のひとつとなるでしょう。
空室リスク
新築物件は人気があるため比較的早く入居者が決まりやすく、反対に中古は空室率が高くなる場合があります。しかし、中古物件は過去のデータから空室率を予測できるため、リスクの少ない物件を選ぶことも可能でしょう。
また、1棟アパートと区分ワンルームで比較すると、1棟アパートの方がリスクを分散しやすいといえます。たとえば8室あるうちの1室が空室になっても、家賃収入の減額は8分の1に抑えられます。
一方、区分所有で1室のみ所有している場合は、空室になると家賃収入はゼロになってしまいます。運用に慣れたら、投資先を増やすことによってリスクを分散するのも方法のひとつです。
収益性
新築は周辺物件よりも家賃を高く設定できる点が魅力です。さらに前述のとおり、空室になりにくいため継続的に家賃収入を得やすいといえます。
一方、中古物件は購入価格が安い分、数値上の利回りは高くなっています。しかし空室になると収入を得られないため、一概に中古の方が収益性が高いといえない点は認識しておきましょう。
また区分ワンルームと1棟アパートで比較した場合、一般的には1棟アパートの方が効率よく収益を上げやすいといわれています。
維持費
新築物件は、購入後しばらく修繕が不要な点がメリットです。一方、中古物件は築10年程度になると、設備の交換や大規模なリフォームが必要となります。
区分ワンルームと1棟アパートの比較では、1棟アパートの方が修繕の規模が大きくなる点が特徴的です。屋根や外壁などのリフォームもあるため、計画的に修繕費を積み立てておく必要があります。
しかし新築であれば、はじめに修繕計画を立てて実施することによって、トラブルなく建物を維持しやすいといえます。また、中古の場合は過去の修繕履歴や積立金の状況をあらかじめ確認することによって、予期せぬ修理費用がかかることは回避できるでしょう。
節税効果
収益用不動産を購入した場合、減価償却することによって節税につながる可能性があります。減価償却とは、購入にかかった費用を毎年少しずつ経費計上する仕組みです。
減価償却できる金額は、建物構造による耐用年数や築年数、物件価格によって決まります。残りの耐用年数が短いほど一年あたりの減価償却費は大きくなるため、節税効果が期待できます。
RC造の区分ワンルームと比較すると、木造アパートの方が耐用年数が短い上、1棟購入なので物件価格も高めです。そのため、一年あたりの減価償却費は大きくなる傾向があります。
まとめ
本記事で紹介した4タイプの収益用不動産には、それぞれメリット・デメリットがあります。
初期コストを少なく始めたい方には区分ワンルーム、リスクを分散して効率よく収益を確保したい方に向いているのは一棟アパートです。さらに新築であれば比較的空室になりにくく、修繕維持費も少なく抑えられます。
どの項目を重視するのか優先順位を考えながら、まずは実際に物件情報をチェックするところから始めてみましょう。
執筆:悠木 まちゃ
ライター・編集者
宅建士・FP3級の資格保有。国立校の建築学科を卒業後、ハウスメーカーに勤務し、営業・設計職を担当。新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの設計などを手掛ける。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動。実務経験を活かし、不動産・金融系の分野を中心に記事執筆から編集まで行う。多数の企業メディアで編集を担当するほか、ライター向けオンラインサロンの添削講師としても活動している。
監修:中村 昌弘
Webライター・編集者
株式会社なかむら編集室 代表取締役
1985年生まれ埼玉県出身。立教大学を卒業後、マンションディベロッパーへ入社。その後は人事コンサル系の会社へ転職し、2016年2月に独立。独立と同時にWebライターをはじめる。SEOライティング × セールスライティング × 書籍編集 × サロン(Webライターラボ)運営など、幅広く活動中。