資源価格の高騰による消費者への影響
ウクライナ侵攻により、資源価格の高騰が進んでいます。日本を含む各国は、これまでロシアから原油やガスを安く輸入できていました。
しかしロシアからの供給が減少している現在、先物市場で資源価格が上昇しています。現時点で「すぐになくなる」ということはありませんが、いずれエネルギー確保が大きな問題になると考えられます。
日本の商社はサハリンでガス田の権益を保有しています。ここで採れるガスが、日本の多くの発電所で使われているという現状があります。
日本にとってサハリンのガス田が重要である理由の1つは、地理的条件です。日本から近いために輸送コストが安く、輸送にかかる日数も短いために機動的に調達できるというメリットがあります。
また、もう1つの理由はコストです。長期契約を結んでいるため、有利な価格で調達できるのです。
日本のエネルギー政策を考える上で、サハリンのガスは非常に重要と言えます。しかしウクライナ侵攻を機に、各国企業がロシアから撤退を表明しています。今後の政府の方針しだいでは日本企業の撤退も十分あり得ます。
そうなったとき、代替となる供給源を確保できるかどうかが大きな問題となるでしょう。
もしガスの仕入れ先をロシアから中東に変えると、日本全体で年間2兆円ほどガスの調達コストが上昇すると想定されています。これが電気代に反映される可能性が高いため、ウクライナ侵攻は日本人の生活にも大きな影響を与えると考えられます。
そして燃料価格は、すべての生産に影響します。海外から日本に輸入するための船にも使われますし、国内の食料生産にも使われます。発電所の稼働や衛生施設の維持にも、燃料は必要です。
ただ、ロシアのプーチン大統領は2022年6月30日、「サハリン2」の権益を持つ外国企業に対し、ロシアが設立する新会社の経営に参画しなければ、権益を接収すると大統領令を出しました。
今後の動きによっては日本の商社も権益を失いかねず、動向が注目されています。
■Nobby‘s point
ウクライナ侵攻が原子力発電再開のきっかけに?
国内の原油在庫には限りがあります。そのため、ウクライナ侵攻が長期化すれば、必ずどこかで原油不足に陥ります。
燃料はお金さえあれば買うことができるので、国民が物価の上昇に耐えられる限りは現状維持が可能です。
ただ、これを機に比較的低コストで、燃料の再利用も可能な原子力発電所の再開が活発に議論に上がるのではないでしょうか。現在はほとんど稼働停止している原子力発電所ですが、ウクライナ侵攻がきっかけで再稼働の動きが活発化しそうです。