気になる日本の借金事情
日本は世界でもトップクラスの借金大国だという報道を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
実は、日本政府は1,000兆円を超える借金を抱えています。「これほど多額の借金を背負ったら国が破綻してしまうのでは?」と心配する人もいるかもしれませんが、その心配はありません。
なぜ日本は多額の借金があっても財政破綻しないのか。日本の借金事情について説明していきましょう。
■TOPICS
どんどん増えていく日本の借金
国の借金である政府の債務は、2022年3月末時点で1,241兆円3,074億円と過去最大を更新しました。2021年3月末と比べると、24兆8,441億円増加。債務総額は、6年連続で“過去最大”を更新しました。
日本の借金の裏側にある「少子高齢化問題」
国が借り入れをするために発行する借用証書ともいえる、国債。
日本国債の発行残高は、現在約1,000兆円。日本のGDPがおよそ500〜550兆円ですので、日本全体で2年間かけて稼ぎ出す金額の借り入れがあることがわかります。
また、下の[図表1]を見るとわかるように、GDP比で見た債務残高の割合は世界トップです。
さらに、債務残高は年々増加しています。
なぜここまで日本の借金が膨れ上がったかというと、社会保障費の増加が大きく関係しています。社会保障費とは、年金や医療、介護、子ども・子育てなどの分野に給付されているお金のことです。
日本の社会保障費は、この30年ほどで10兆円から30兆円台後半まで膨れ上がっています。1960年代までさかのぼると、社会保障費は歳出の10%ほどでした。それがいまでは、全体の約34%にまで増加。
なんと国家予算の3分の1が、年金や介護、医療といった社会保障の分野にあてられているのです。
ここまで社会保障費が増加した背景にあるのは、少子高齢化。1960年代といまでは、人口構成が大きく異なります。当時は若い世代が多く、歳出の多くは教育費や医療費に費やされていました。
しかし、現在は高齢層の割合が増え、それに伴って年金や医療費に社会保障費を費やす割合が増加しています。年金制度や医療費制度の改定は度々行われてきていますが、福祉を支えるはずの現役世代の減少が想定以上のスピードで進んでいると言えます。