ウクライナ侵攻の影響で「円安」が加速
現在、為替市場では円安が進んでいます。この状況とウクライナ侵攻は、実は連動しています。
ウクライナ侵攻による経済制裁で、ロシア産の原油やガスの輸入を欧米諸国が大幅に縮小しました。そのため燃料価格が高騰、さまざまな商品の価格が上がり、“インフレ”の状態となりました。
価格が上がり続けると国民生活に大きな影響が出るため、欧米各国は政策金利を上げて対応しています。
一方で、物価上昇や景気回復のスピードが比較的緩やかな日本はゼロ金利を堅持しています。
そのため、欧米先進国と日本の間の金利差が拡大され、より高金利のドルやユーロが買われて円が売られる動きが強くなり、急激な円安が進行しているのです。
■Nobby‘s point
ウクライナ侵攻、ロシアの言い分
一部で言われていることですが、「NATO加盟国を拡大しない」という口約束がアメリカ・ロシア間で行われたという説があります。しかしこれはロシア側の文書にしか残っておらず、相互検証ができません。
ただ、ロシア側としては過去の約束を反故にされたとの思いも強く、それが今回のウクライナ侵攻の背景になったという考え方もできます。
アメリカが実施した金融引き締め策
2022年3月16日、アメリカは政策金利の0.25%引き上げを発表しました。これはコロナ禍で実施していたゼロ金利政策を解除し、金融引き締めに転換するということです。
これにより、投資家がドルを買う動きに入っています。ゼロ金利の円で運用するより、金利が少しでも高いドルで運用したほうが効率がよいからです。
その後もアメリカのインフレは収まっておらず、2022年5月には0.5%、6月、7月は2か月連続で0.75%の利上げを行いました。日米の金利差は大きく拡大しており、今後もドル高の圧力は続くものと見られます。
■Nobby‘s point
日本がアメリカと同じ対策を打てない理由とは
アメリカは金利の引き上げによりドル安を食い止めようとしていますが、これと同じ方針を日本がとることは難しいと考えられます。
なぜなら日本は現在、物価は上昇しているものの給料が反映されていない、という状態にあるからです。つまり金利を上げると、庶民の生活がさらに厳しくなってしまうのです。
そのため、金利が上がらず物価が上がり続けることで、インフレが加速することが想定できるのです。
本来、日本は輸出が強い国です。円安が進めば日本製品を安く売ることができるため、外国との競争力は上昇します。
ただ現在の日本は、工場を海外に移転してきた企業も多く、円安のメリットを以前ほど享受できない状況にあると言われています。
また、円安により輸入コストも上がるため、継続的な赤字になってしまうことが考えられます。つまり、どれだけ海外で日本企業の製品が売れたとしても、日本にあるお金はどんどん海外に流出していく可能性があるのです。