(※写真はイメージです/PIXTA)

生前の被相続人から一部の相続人が受けた利益を考えずに相続を行えば、自然と遺産の分割は不平等なものになり、残された家族の間で不和が起きてしまうこともあるでしょう。そうならないために知っておきたい「特別受益」と「持ち戻し」について、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届け。今回は、「特別受益」と「持ち戻し」について知り、相続の不安をなくしましょう。

特別受益の持ち戻しは10年以内? 民法改正の内容をチェック

特別受益については改正点があるので注意しましょう。

 

まずは201971日の民法改正により、原則として被相続人が亡くなる10年以内の贈与に限定し、特別受益の持ち戻しの対象となることが決められました。

 

ただし、被相続人と贈与を受ける相続人が、他の相続人に損害を加える目的でわざと贈与した場合は、やはり持ち戻しの対象となります。

 

同じく民法改正により、婚姻期間20年以上の配偶者に居住用不動産または取得用の金銭を贈与(おしどり贈与)した場合、持ち戻し免除と推定(判断)されると明記されました。

特別受益の持ち戻しをしたい! 必要な対応とは?

特別贈与があった相続人に持ち戻しを主張する場合は、次の手順で進めます。

 

1.特定の相続人に特別受益があったかどうかを確認

 

2.被相続人の亡くなる10年以内に特別贈与があった相続人を発見

 

3.特別贈与があった相続人と遺産分割協議で話し合いを持つ

 

4.話し合いが物別れに終わった場合、特別贈与を主張する相続人側が家庭裁判所へ遺産分割調停の申し立て準備

 

5.特別贈与を主張する相続人側が、相手方の住所地の家庭裁判所か当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てする 

 

なお、特別受益が原因で他の相続人の遺留分(法定相続人に最低限保証される分割割合)まで侵害されていた場合、侵害された分のお金を請求できる「遺留分侵害額請求」を行えます。

 

ただし、この請求権は相続の開始か、遺留分の侵害された贈与等があった事実を知った時から1年経過、たとえ事実を知らなくても相続開始の時から10年経過すると時効で消滅します。

特別受益で争わないための3つの対策

特別受益があったとしても、相続人同士で揉め事に発展しないよう、被相続人は事前に対策を検討しましょう。

 

遺言は公平性に配慮する

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

 

遺言書の内容は基本的に被相続人が自由に決められます。ただし、特別受益の持ち戻しを禁じる内容としても、他の相続人はなかなか納得しないかもしれません。

 

そのため、持ち戻しを禁じる代わりに、特別受益を受けなかった相続人へ、遺産の取得割合を多めに指定する等、各相続人の公平性に配慮した取り決めを行うべきでしょう。

 

生命保険を活用する

生命保険(死亡保険)で受取人に下りる死亡保険金は、原則として特別受益に該当しません。ただし、被相続人の遺産と比較してあまりに高額の保険金が受け取れる場合、死亡保険金も特別受益に該当する可能性があります。

 

そのため、死亡保険金の受取人を複数の相続人に設定すれば、公平性は保たれ相続人同士で揉めるリスクが軽減されます。

 

相続診断士に相談を

被相続人も相続人も、特別受益に関して不安がある場合は、相続全般の専門知識を有する「相続診断士」へまず相談してみましょう。

 

相続診断士は有資格者なので、相談者の悩みや不明点へ的確なアドバイスを行います。相続診断士の助言を受けつつ、特別受益で揉めないための対策を検討しても良いでしょう。

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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