今回は、民事信託の設計に必要な「信託証書・契約書」を作成する際のポイントを見ていきます。※本連載は、税理士・公認会計士の成田一正氏監修、一般社団法人民事信託活用支援機構理事長の髙橋倫彦氏、同機構理事の石脇俊司執筆の『『危ない』民事信託の見分け方』(日本法令)の中から一部を抜粋し、資産家の相続対策、資産および事業承継対策としての活用が期待される民事信託について、その特徴や問題点、起こりうるトラブルへの対処法を見ていきます。

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信託目的、受託者の権利と義務…確認すべき事項は多数

前回に引き続き、民事信託を設計する際の法務の留意点について見ていきます。

 

(2)信託証書または契約書作成のポイント

連載第4回第5回を踏まえた信託証書または契約書の作成上、確認すべきポイントは、次の通りです。

 

●信託目的

●受託者の権限と義務

●信託財産の移転、保全、管理方法

●資産運用のガイドライン

●受益者の範囲、承継受益者

●受益の条件、信託給付の内容と時期

●信託の変更の権限

●後継受託者の定め

●終了事由

自己信託の設定書面に記載すべき事項とは?

(3)自己信託設定のポイント

 

①設定書面の作成

自己信託の設定には、公正証書その他の書面と電子的記録の方法があり、前者には、公正証書のほかに、公証人に認証を受けた書面等と確定日付のある証書があります。自益型自己信託の設定は、確定日付のある証書によってはできないと考えられます。『危ない』民事信託の防止のためには、公証人が内容を吟味し、点検して作成する公文書である公正証書が望ましいでしょう。

 

②設定書面の記載事項

自己信託の設定の書面には、信託目的、信託財産の特定に必要な事項等の法務省令で定める事項を記載しなければなりません。遺言代用信託において委託し死亡時に信託財産を注ぎ込む仕組みの場合は、委託者が受託者に移転する財産の範囲を明確に特定する記載が必要です(遠藤英嗣『増補新しい家族信託』(日本加除出版)P341)。

 

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本連載は、2016年4月1日刊行の書籍『『危ない』民事信託の見分け方』から抜粋したものです。その後の法改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「危ない」民事信託の見分け方

「危ない」民事信託の見分け方

成田 一正 監修 髙橋 倫彦、石脇 俊司 著

日本法令

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