今回は、民事信託・商事信託の「受託者」を選ぶ際のポイントを見ていきます。※本連載は、税理士・公認会計士の成田一正氏監修、一般社団法人民事信託活用支援機構理事長の髙橋倫彦氏、同機構理事の石脇俊司執筆の『『危ない』民事信託の見分け方』(日本法令)の中から一部を抜粋し、資産家の相続対策、資産および事業承継対策としての活用が期待される民事信託について、その特徴や問題点、起こりうるトラブルへの対処法を見ていきます。

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民事信託の安全性を保つには「受託者」の選定が肝要

受託者は、信託財産に属する財産の管理または処分およびその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有します(信託法第26条)ので、『危ない』民事信託の防止には受託者の選定が肝要です。

 

個人受託者を選ぶか法人受託者を選ぶかは、信託の種類、信託財産の価額、信託目的、信託の満期、受益者が誰か等の要素から、それぞれのメリットとデメリットを勘案して決めます。

民事信託、商事信託の受託者のメリットとデメリット

民事信託の個人受託者のメリット・デメリット

 

【メリット】

 

●信託のコストが割安になることが多い。

●受託者が報酬なしまたは低廉な報酬でサービスしてくれる。

●受託者が委託者の事情、受益者の事情やニーズを知っている。

●受託者がこの信託の受益者のためにだけ働き、他の信託のためには働かない。

●受託者が受益者の福祉に関して配慮する。

 

【デメリット】

 

●信託、投資、信託の帳簿作成の知識が不足。信託事務が疎かになる可能性がある。

●専門家の支援を得るための支払いが発生する場合がある。

●資産運用や信託給付における経験に乏しい。

●信託財産の管理や運用に関する専門スタッフや経験が不足している。

●その他の人物の影響を受け、家族または友人との紛争の原因になる危険がある。

 

商事信託の法人受託者のメリット・デメリット

 

【メリット】

 

●信託の管理、投資、会計、記帳および信託法に関しての経験と能力がある。

●偏見のない、知見に基づく信託給付が遂行される。

 

【デメリット】

 

●個人受託者より費用がかかる。個人受託者と違って夜間や週末にサービスしてくれない。

●受益者のニーズを理解しないかもしれない(この場合、委託者の覚書が役に立つ)。

 

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    本連載は、2016年4月1日刊行の書籍『『危ない』民事信託の見分け方』から抜粋したものです。その後の法改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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