コミュニケーション力をアップさせるには、今話を聞いているという気持ちで本を読もう
実社会でいろいろな人を意識的に観察し、そこから学ぶことでも、コミュニケーション力をアップさせることが可能です。さらに、ある「コツ」をつかめば、本を読むときにもコミュニケーション力をアップさせることができます。
その「コツ」とは、ただ読むのではなく、「意識して読む」ことです。それによってあなたのコミュニケーション力は劇的に変わるでしょう。
100年前、あるいは1,000年前に亡くなった人間の本でも、今、その作者が目の前にいるのだと思って、聞くように読むと、よりリアルに感じられるようになり、血肉になっていきます。
「読んでいるのではない。聞いているんだ」と想像しながら読むことが大事なのです。
とくに聖書や仏典、論語などは、そもそもキリストやブッダ、孔子が話した言葉を弟子たちがまとめたものです。だからこそ、聞くように読むことによって、よりパワーを感じることができるでしょう。
ゲーテと交流のあったエッカーマンが記した『ゲーテとの対話』を例に
具体的な例を挙げてみましょう。エッカーマンが残した『ゲーテとの対話』は、まさに聞くように読みたい一冊です。同書は、晩年のゲーテと深い交流をもったエッカーマンが、ゲーテとの対話を事細かに記録したもので、いかにも、ゲーテが話してくれているという感じで読むことができます。たとえば、次のような内容です。
(『ゲーテとの対話上』山下肇訳・岩波文庫より)
この本を読んでいくと、「ほうほう、ゲーテはエッカーマンを私たち人類を代表する聞き役にして、私たち人類に叡智のプレゼントをしてくれたのだな」と思えること請け合いです。
そして、本を読みながらそういう「聞く構え」を身につけておくと、普通の人の話を聞くときにも、ちょっと深く聞くということができるようになり、より高いコミュニケーション力を養っていけるようになるのです。