独立するときにまずやること
「会社を辞めて独立開業したい」そう考える人もいるでしょう。あるいは、部署内での異動や転職が上手くいかず、資格を活かして働くには独立しか選択肢がない、くわえて定年後に独立したい、という人もいるかもしれません。
未経験で独立して成功、会社員時代よりもお金を稼いでいる、という人もいないわけではありません。ただ決断する前にお金についての目安を立てておく必要はあります。
■ライフプランの試算
まず確認すべきなのは、貯金の額と会社を辞める際に貰える退職金の額です。独立してもすぐにお金を稼げるわけではありません。運良く仕事を貰えたとしても、月々の顧問契約などを除いて、仕事が終わるまでは請求できません。
成功報酬で助成金や補助金の申請代行の仕事を請け負ったときなど、請求できるまで半年くらい時間がかかるケースもあります。半年から1年くらいは、貯金を取り崩して生活する人もいますので、その期間、耐えられる金額があるのかを確認しましょう。
退職金の額については、総務部などに確認すれば分かりますが、聞くのがはばかられる人は、退職金規定で見れば、基本給に乗じる係数(勤務年数によって変わる)が記載されていますので概算金額は把握できます。
次に確認しなければならないのは、以下の出費です。
①住宅ローンや子供の教育費など家族にかかる出費
②日々の生活費
③税金、保険料など
侮れないのは③に関する出費です。会社員は、自動的に給料から厚生年金や健康保険などの社会保険料が天引きされます。それらの出費がないため、独立するとお金が貯まる期待を持つ人も多いですが、意外とそうでもないのです。
例えば、社会保険料は会社が半分負担していましたが、全額、自分で負担しなければならないからです。国民年金保険料は定額ですが、国民健康保険料は会社の負担分がなくなるので、月5万円以上も払わなければならない人もいます。
さらに住民税などの負担もあります。家計簿をつけていれば、①と②に関する費用は把握できますが、③については想定外です。
(貯金+退職金)÷月の出費(住宅ローンなど+生活費+税金・保険料)
■お金は借りられるが
もちろんお金を借りられるのであれば、返済可能な範囲で借りたほうがよいです。融資についての相談もありますので、まずは自分で体験すると状況が分かります。
ただし生活費に補塡するのは可能な限り、避けましょう。事務所の維持費用や備品代、会費、営業費用など独立当初はなにかとお金がかかりますので、借り入れたお金は、この費用に充てるようにしましょう。
たとえば士業は、仕入れが要らないビジネスだといわれていますが、お金がまったくかからないわけではありません。特に家族がいる人は、生活を維持できるよう計画を立てなければなりません。
【借り入れ先の例】
・日本政策金融公庫/新創業融資制度
新たに事業を始める方や事業を開始して間もない人を対象に、無担保・無保証人で利用できる「新創業融資制度」を扱っている。