(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、一時年初来の米ドル高値を更新するなど「米ドル高・円安」が進みました。米ドル/円がこのような動きをみせた背景とは。また、この動きは今後も続き、その場合1ドルいくらまで円安が進むのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

米ドル高・円安はどこまで続く?

米ドル/円は1月に一時127円台まで急落しましたが、そこで90日MA(移動平均線)かい離率はマイナス10%近くまで拡大し、経験的には米ドルの短期的な「下がり過ぎ」、別な言い方をすると米ドル安・円高の「行き過ぎ」懸念が高くなっていました(図表5参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]米ドル/円の90日MAかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

その意味では、当面の円高に限界感が出ていたところに、これまで見てきたように米金利の上昇に伴う金利差米ドル優位拡大となったことで、米ドルの短期的な「下がり過ぎ」修正が大きく進んだ結果が、米ドル高・円安の拡大をもたらしたということでしょう。では、この米ドル高・円安はまだ続くのか。

 

米ドル/円は先々週にかけて5週連続で52週MAを下回りましたが、経験的にはこのように長く52週MAを下回る動きは継続的なトレンドとして展開している可能性が高いものです(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表6]米ドル/円と52週MA(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

その意味では、そんな米ドル安・円高トレンドと逆行する先週にかけての米ドル高・円安は、基本的にはあくまで一時的な動きの可能性が高いでしょう。

 

経験的には、下落トレンドと逆行する一時的な上昇は52週MAを「大きく」「長く」超えない程度にとどまります。足元の米ドル/円の52週MAは133円程度なので、それを超えた米ドル高・円安は「行き過ぎ」圏に入ってきた可能性はあるでしょう。

 

ただし、一時的動きの場合でも、最大で5%以内まではトレンドと逆方向に52週MAをかい離することはありました。そして今回の場合、52週MA自体、たとえば1ヵ月後には134~135円程度までまだ当面上昇する見通しとなっています。ちなみに、134円を5%上回るなら140円程度といった計算になります。

 

その意味では、あくまでトレンドと逆行する「一時的米ドル高・円安」ながら、米金利上昇など次第ではさらに140円を目指して続く可能性もあるのではないでしょうか。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円の予想レンジは、132.5~137円中心に想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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