米ドル高・円安はどこまで続く?
米ドル/円は1月に一時127円台まで急落しましたが、そこで90日MA(移動平均線)かい離率はマイナス10%近くまで拡大し、経験的には米ドルの短期的な「下がり過ぎ」、別な言い方をすると米ドル安・円高の「行き過ぎ」懸念が高くなっていました(図表5参照)。
その意味では、当面の円高に限界感が出ていたところに、これまで見てきたように米金利の上昇に伴う金利差米ドル優位拡大となったことで、米ドルの短期的な「下がり過ぎ」修正が大きく進んだ結果が、米ドル高・円安の拡大をもたらしたということでしょう。では、この米ドル高・円安はまだ続くのか。
米ドル/円は先々週にかけて5週連続で52週MAを下回りましたが、経験的にはこのように長く52週MAを下回る動きは継続的なトレンドとして展開している可能性が高いものです(図表6参照)。
その意味では、そんな米ドル安・円高トレンドと逆行する先週にかけての米ドル高・円安は、基本的にはあくまで一時的な動きの可能性が高いでしょう。
経験的には、下落トレンドと逆行する一時的な上昇は52週MAを「大きく」「長く」超えない程度にとどまります。足元の米ドル/円の52週MAは133円程度なので、それを超えた米ドル高・円安は「行き過ぎ」圏に入ってきた可能性はあるでしょう。
ただし、一時的動きの場合でも、最大で5%以内まではトレンドと逆方向に52週MAをかい離することはありました。そして今回の場合、52週MA自体、たとえば1ヵ月後には134~135円程度までまだ当面上昇する見通しとなっています。ちなみに、134円を5%上回るなら140円程度といった計算になります。
その意味では、あくまでトレンドと逆行する「一時的米ドル高・円安」ながら、米金利上昇など次第ではさらに140円を目指して続く可能性もあるのではないでしょうか。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円の予想レンジは、132.5~137円中心に想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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