(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、一時年初来の米ドル高値を更新するなど「米ドル高・円安」が進みました。米ドル/円がこのような動きをみせた背景とは。また、この動きは今後も続き、その場合1ドルいくらまで円安が進むのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

「2月21日~2月27日のFX投資戦略」のポイント

〈ポイント〉
・先週の米ドル/円は大きく上昇した。主因は米金利の上昇。米金利はこれまでの「下がり過ぎ」の反動もあり、さらなる上昇の可能性もありそう。

・52週MAとの関係からすると、米ドル高・円安はあくまで「一時的」の可能性が高いが、米金利上昇次第ではさらに140円を目指す可能性もありか。

・今週の米ドル/円予想レンジは132.5~137円中心で想定。

年初来の米ドル高値を更新

先週の米ドル/円は大きく上昇し、一時は年初来の米ドル高値を更新しました。この動きは、基本的に日米10年債利回り差米ドル優位拡大に沿ったものでした(図表1参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表1]米ドル/円と日米10年債利回り差(2022年10月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

そしてそんな金利差の拡大は、日本の金利が基本的に横這いとなったなかで、米金利が大きく上昇したことで起こったものでした(図表2参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表2]日米10年債利回りの推移(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

このような結果、とくに日本の金利が横這いとなったということに対しては意外に感じた人もいるかもしれません。先週は、次期日銀総裁に、経済学者であり元日銀審議委員の植田和男氏が起用される見通しとなり、そのなかで現在の黒田総裁が主導してきた金融緩和を急転換するといった警戒感が後退したと見られました。

 

その意味では、この材料が円安を後押ししたと考えた人もいたのではないでしょうか。ただ、実際には日本の10年債利回りは現在日銀が上限としている0.5%近辺での高止まりが続きました。以上のように見ると、「黒田緩和転換への警戒感後退→円金利低下→円安」といったことではなかったでしょう。

 

一方で米10年債利回りは、一時は年初来の高値を更新するまで一段と上昇しました。先週は、1月のCPI(消費者物価指数)、小売売上高など注目の米経済指標発表が相次ぎましたが、総じてこれまで続いてきたインフレ是正、景気減速の流れが足踏みした結果となりました。

 

そういったなかで米金利が大きく上昇し、日米金利差米ドル優位の拡大により米ドル高・円安が広がったということでしょう。

 

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