(※写真はイメージです/PIXTA)

西野卓郎氏の著書『ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障』より一部を抜粋・再編集し、日本社会に存在する「社会的弱者」として障害者、ひとり親世帯、ひきこもりを挙げてみていきます。

ひきこもりの人が「就労したい」と望むようになるワケ

「ひきこもり」も社会的に弱い立場にある。重複等により単純には加えられないが、内閣府は15歳から39歳までのいわゆる若年層ひきこもり状態の人を54.1万人と推計(「若者の生活に関する調査報告書2016年」)したのに続き、40~64歳のひきこもり状態の人を61.3万人(「生活状況に関する調査」2019年)としている。

 

その4分の3は男性で、理由は「人間関係がうまくいかなかった」「病気」等に加えて最も多かったのが「退職」だった。女性の場合は、実際にはひきこもりの状態で、親もやや不安を感じていたとしても、自治体のアンケート調査等には「家事手伝い」と回答する家族が多く、それと同様、「専業主婦」という立場も、ひきこもりという実態を見えにくくしている。

 

世間では、ひきこもりのことを「怠け者」とする主張も多いが、本人はひきこもりの状態を決して楽しんでいるわけではなく、ほとんどのひきこもりは、その状態に苦しんでいる。

 

そのため、ひきこもっている本人がまず自分の現状を肯定的に受け止め、主体的に動けるようになることが必要である。ひきこもりの人が「就労したい」と望むのは基本的に承認欲求のためである。

 

自分の現状を肯定的に受け止められるようになるには、信頼できる家族以外の仲間を持つことが重要である(『中高年ひきこもり』(幻冬舎新書)斎藤環幻冬舎2020年)。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

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