(※写真はイメージです/PIXTA)

西野卓郎氏の著書『ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障』より一部を抜粋・再編集し、日本社会に存在する「社会的弱者」として障害者、ひとり親世帯、ひきこもりを挙げてみていきます。

社会的弱者はどのくらいいてどのような境遇にあるのか

内閣府の『障害者白書』平成30年版によれば、身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、各区分における障害者数の概数は、身体障害者(身体障害児を含む。以下同じ。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。以下同じ。)108万2000人、精神障害者392万4000人となっている。

 

つまり、身体や心等に障害がある人の数は約936万6000人、日本の全人口に占める割合は約7.4%である。ほぼ東京23区の人口に匹敵する人が障害を抱えていることになる。

 

障害者手帳所持者以外の障害者、またその境界にいるような障害者を含めれば、この数字よりも多くの人が「生きづらさ」「生活のしづらさ」を抱えていると推測される。

 

元衆議院議員で自らも服役経験のある山本譲司は、服役中、何回も服役生活を繰り返してしまう知的障害者の多さに驚き、

 

「知的障害のある受刑者は再犯する人が多くて、平均で3.8回の服役を経験している。65歳以上では「5回以上」が約70%もいる。再犯者の約半分は、前の出所から次の事件を起こすまでが1年未満と短い。」

 

(『刑務所しか居場所がない人たち:学校では教えてくれない、障害と犯罪の話』山本譲司 大月書店 2018年)

 

と記している。

 

重罪を犯した者は、一度の刑期が長く、一生のうち何度も懲役刑を受けることは不可能である。

 

これはつまり、知的障害者が服役するのは大方が窃盗などの軽微な罪であるということを意味する。知的障害者の中でも、その8割以上を占めるといわれる軽度の知的障害者には、福祉の支援がほとんど行き届いていない。

 

軽度知的障害者が手帳を所持していても、あまりプラスはなく、単なるレッテル貼りに終わってしまうことから、障害が軽度の場合は、あえて障害者手帳を取得しないケースも多くなる。

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

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