家賃滞納する入居者に“張り紙”で対抗→訴えられた大家…裁判所が大家に命じた「まさかの慰謝料」【弁護士が事例紹介】

家賃滞納する入居者に“張り紙”で対抗→訴えられた大家…裁判所が大家に命じた「まさかの慰謝料」【弁護士が事例紹介】
(※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸アパート・マンション大家を悩ませる問題のひとつに「家賃の未払い」があります。今回、賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた北村亮典弁護士が、家賃を踏み倒す入居者に対して「張り紙」で対抗し、入居者から訴えられてしまった大家の悲劇を紹介します。

過去には「張り紙」が許された判例も…なにが違った?

実際、東京地裁昭和62年3月13日判決のケースでは、賃料を3ヵ月分滞納し、電話しても応答せず貸室にも不在であった賃借人の居室のドアに、賃貸人が「連絡を請う。」とか「一二月一五日までに退去とのことであったが、未だに立ち退かず返答されたし。」といった内容の張り紙をしたというケースで、裁判所は

 

「賃料の支払を求めるためにやむをえず行った行為として社会通念上是認できるものであって、これを違法ということはできない。」

 

と判断しています。

 

以上を踏まえますと、ドアに張り紙をする場合には

 

・賃借人の賃料の滞納状況(最低でも2ヶ月以上の滞納は必要)

・賃借人側の連絡への応答状況(電話、訪問によっても応答なし)

・連絡を取るべき緊急性の有無(貸室内に異変が生じている兆候があるか否か)

 

を確認したうえで、慎重に対応する必要があります。

※この記事は、2019年1月6日時点の情報に基づいて書かれています(2023年2月17日再監修済み)。

 

 

北村 亮典

弁護士

大江・田中・大宅法律事務所

 

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※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

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