改正民法施行後に更新…「保証契約」の扱いは?
【賃貸人からの質問】
私は、ワンルームマンションを所有していますが、賃借人との賃貸借契約は2018年5月1日に締結しました。その際に連帯保証人にも契約書にサインをしてもらっています。民法改正前でしたので、保証人の責任について極度額の定めは規定していません。
契約期間は2年間でしたので、2020年5月1日に賃借人と合意更新の契約をすることになり、賃借人と更新契約書を交わしました。更新の際は、保証人からはサインはもらっていません。
ここでひとつ気になるのは、2020年4月1日の改正民法施行後は、保証人については、保証の限度額(極度額)を契約で定めなければ保証契約は無効になると聞きました。更新の際に、保証人とも新たに、極度額を定めた保証契約を結ばなければ、保証は無効となってしまうのでしょうか。
【説明】
2020年4月1日に施行された改正民法の465条の2第2項※により、保証人が負うべき限度額(極度額)を定めなければ、保証契約は効力を生じないと規定されました。
※ 改正民法465条の2第2項:個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
したがって、改正民法においては、賃貸借契約において保証契約が効力を生ずるためには、契約書において保証人の負うべき極度額を「●円」とか「月額賃料の●ヵ月分」といった形で規定をしなければなりません。
では、たとえば、本件のように、
・改正民法施行後に、賃貸借の更新契約が締結された
という場合に、保証契約の扱いはどうなるのでしょうか。
原則、更新後の保証人の責任は「継続」
まず、前提として、賃貸借の更新契約の締結の際に、保証人とも新たに保証契約をしなければ更新後は保証契約は効力を失ってしまうのか、という問題があります。
この点については、最高裁判所平成9年11月13日判決が以下のように述べて、原則として、改めて保証人と契約を締結しなくとも賃貸借契約更新後も保証人の責任は継続すると判断しています。
「期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人とのあいだで保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、
保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである。」
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