(※写真はイメージです/PIXTA)

相続問題は、拗れると精神的疲労がズシリとのしかかります。身内同士で揉めることで、より深い思いがぶつかり合うからなのでしょう。だからこそ、できるだけ円滑に、円満に解決したいものです。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、相続の分配に関するトラブルについて、尾崎祐一弁護士に解説していただきました。

「祖母の遺言だから」と2人で独占し、分配

相談者さんは、父親(祖母の長男)が亡くなり、その直後に祖父も続きました。その1年後、祖母が亡くなりました。

 

被相続人より先に相続人が亡くなっていたので、その際の遺産相続は被相続人から見て、孫、ひ孫、甥、姪等が相続財産を受け継ぐ代襲相続となり、以下のように税理士を通じて遺産分割協議書が作成されました。

 

・祖母 1/2

・次男 1/6

・三男 1/6

・孫(先に亡くなった長男の子、2人) 1/12ずつ

 

ところが後になり、祖母の相続分50%については、叔父である次男と三男が「祖母の遺言だから」と2人で独占し、分配したことがわかりました。「遺言」と言っても、公正証書があるわけでなく、音声だけだといいます。

 

2人が示し合わせ、勝手に祖母の遺産を自分たちのものとして分配していたのです。こうした場合でも、相談者さんは法定相続分ではなく、遺留分しか請求できないものなのでしょうか…。相談者さんとしては到底納得できません。

 

そこで、相談者さんは、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

(1)音声だけの遺言は有効なのか。

(2)次男と三男の行為を法的に問うことは可能なのか。

(3)この状況を適正に戻すために、どんな法的手段があるのか。今後どのようにすすめていけばいいのか教えてほしい。

遺言としての効力はある?

遺言というのは、人がした意思表示の効力を、その人が亡くなった後に生じさせる行為です。そして遺言は、死後に効力が生じるのであり、効力発生時には遺言をした人は存在しません。

 

遺言が真意に基づくものであることを担保できる必要があります。

 

そこで、民法では遺言について一定の方式を定めており、その方式によらなければ遺言としての効力は生じません。

 

方式には普通方式と特別方式がありますが、通常は普通方式である①自筆証書遺言、②公正証書遺言そして③秘密証書遺言で行われるのが原則です。

 

これらの遺言形式は、いずれも書面化されていなければなりません。従って、お祖母さまの音声が残っていても、それは遺言としての効力は生じません。

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