2兆円の経済効果も期待…「大阪・関西万博」
また、大阪には将来的な発展を期待させる大きなイベントやプロジェクトがいくつも予定されています。最大のイベントが、2025年の「大阪・関西万博」です。
ご存じのように、大阪では1970年にも万博が開催されています。当時、約6400万人もの来場者があったことから、東京オリンピックにも匹敵する国民的なイベントとして記憶されています。地元では、当時の盛況を知っている世代の方々を中心に、かつての成功を重ね合わせて、大阪・関西万博に期待する声が高まっています。
開催が予定されているのは大阪市の湾岸エリアにある人工島の夢洲(此花区)です。
甲子園球場約40個分に相当する155ヘクタールもの広大な会場には、シンボルである大屋根(リング)が建築され、その内側には各国のパビリオンや大阪・関西万博の中核事業である「いのちの輝きプロジェクト」で建設する8つのテーマ館が整備されることになっていて、2025年4月13日から10月13日までの期間中、約2800万人の来場者が想定されています。
もっとも、新型コロナウイルスの蔓延以降、日本国内では観光客の往来が制限されてきたため、来場者数の見通しに不透明な要素も強まってはいます。
しかしながら、海外ではすでに往来の制限を解除している国も多く、大阪・関西万博がかつてのようなインバウンドの復活を象徴するイベントになる可能性は、十分にあるのではないでしょうか。経済産業省は、大阪・関西万博の開催による経済波及効果がおよそ2兆円にのぼると算出しています。
IR誘致の最有力候補…莫大な経済効果を期待
そして、もうひとつ、大阪の活性化を加速させるプロジェクトとして期待されているのがIR(カジノを含む統合型リゾート)の誘致です。
ご存じの方も少なくないと思いますが、当初、IRを誘致する候補地として東京(お台場・青海地区)、北海道(苫小牧市)、愛知(中部国際空港周辺地域)、和歌山(和歌山マリーナシティ)、長崎(佐世保市ハウステンボス地域)が立候補していました。その後、地元議会との協議などによって立候補を取り下げる自治体があらわれ、2022年現在、大阪が最も有力な候補地となっています。
地元では誘致に反対する声も上がっていて、大阪が正式に候補地として決定するまでには、まだ紆余曲折が見込まれますが、仮に大阪が候補地として選ばれた場合、IR施設の建設が予定されているのも夢洲です。
現在の夢洲には2つのコンテナターミナルがあるだけで、その大部分は利用目的が決まっていない空き地として、長年放置されてきました。この広大な(東京ドーム10個分の)空き地が大阪・関西万博後、IRとして活用されることになれば、大阪だけでなく、関西圏にとっても大きな活力源になると予想されています。
大阪府と大阪市の共同組織である大阪IR推進局によれば、経済波及効果は建設時だけで約1兆8500億円にのぼり、開業後も毎年約1兆1400億円の波及効果が期待されるそうです。また、10万人近い雇用創出効果が見込まれるほか、年間来訪者数も国内外から約2000万人に達すると予想されています。
地理的条件も…カジノとUSJの相乗効果
実際、夢洲が海をはさんでユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)とほぼ向かい合っているという地理的にめぐまれた条件を考えると、IRには大きな期待が寄せられています。
大阪メトロ(大阪市高速電気軌道)では、現在、コスモスクエア駅を終点とする中央線(北港テクノポート線)を夢洲まで延伸する計画で、2024年度中の開業が予定されている新駅「夢洲駅」には高さ275メートル、55階建てのタワービルが建設されることになっています。
また、大阪メトロは大阪・関西万博に向けて既存の主要な駅のリニューアルにも取り組んでおり、夢洲周辺だけでなく、大阪市を中心とする広い範囲で地下空間の大規模な改革が進んでいるようです。
毛利 英昭
株式会社リンクス
代表取締役
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