(写真はイメージです/PIXTA)

一般的に、相続税では税務調査の確率が非常に高いといわれています。調査による指摘により、誤りや漏れが見つかった場合には非常に大きなペナルティが課されます。税務調査への対応は心理的な負担も大きく、準備や対応などに時間もかかることから、できれば避けたいと考えるのが通常でしょう。税務調査に狙われやすいパターンなどはあるのでしょうか? 相続税における税務調査の実態について、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

「税務調査」とは?

(※画像はイメージです/PIXTA)
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税務調査とは、税務申告に過ちがないか税務署が確認をする調査手続きです。税務署の調査官が自宅などを訪れ、資料を確認したり関係者からヒアリングをしたりして、申告に漏れがないかなどを調査します。

 

税務調査というと、突然自宅に税務署員が押しかけて資料をごっそり持っていくような怖い印象を持っている方も少なくないようですが、そのような調査は決して多くはありません。詳しくは後ほど解説しますが、相続税の税務調査は、大半が事前に連絡のある任意調査です。

8割以上が申告漏れを指摘される…税務調査の実態

 

一般的に、相続税の調査は多く行われているといわれています。ここでは、相続税についての税務調査について、税務署が公表しているデータから実態を確認しましょう。

 

相続税の調査は5~7件に1件程度

相続税の調査の割合は、例年20%前後で推移しています。5件の税務申告があれば、そのうち1件ほどに調査が入る計算です。新型コロナウイルスの影響もあってか、令和元年度の調査件数は少し減っており、全体の14%程度でした。今後も、相続税では5~7件に1件程度の割合で調査に入ると考えておくといいでしょう。

 

約85%で申告漏れが指摘される

相続税の調査では、高い確率で申告漏れが指摘されています。 その割合は、平成30事務年度では85.7%、令和元事務年度で85.3%でした。

 

税務署はやみくもに調査に入るわけではなく、事前にある程度申告内容の確認や精査をしてから調査先を選定すると考えられています。そのため、税務調査が入った時点ですでに税務署はなんらかの予想をつけている可能性が高く、万が一申告漏れがある場合には簡単に隠しとおせるなどとは考えないほうがいいでしょう。

 

申告漏れの追徴税額は「641万円」と高額

(※画像はイメージです/PIXTA)
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国税庁が公表している資料によれば、令和元事務年度における実地調査1件当たりの追徴税額の平均は、641万円です。なかでも、海外資産関連事案に対する調査では1件当たりの申告漏れ課税価格が5,193万円にものぼっており、かなり高額な追徴を受けているケースも多いのが現状です。

 

申告漏れのうち約17%が「重加算税」の対象…ペナルティ課税を受ける

重加算税とは、仮装や隠蔽により課税を逃れようとした場合に課されるペナルティ的な税金です。 重加算税の割合は、原則として追加で発生する相続税の35%(そもそもが無申告の場合には40%)にものぼり、高額になる場合が少なくありません。令和元事務年度では、申告漏れが指摘された案件のうち、約17%で重加算税が賦課されています。

 

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