(写真はイメージです/PIXTA)

相続税は、金銭で納付することが原則です。相続財産が多すぎるなど、金銭で納付できない場合には「物納」を選ぶことができますが、その要件は厳しく、申請をしても却下される事例が少なくありません。本記事では相続税の例外的措置「物納」が許可されないケースについて、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

相続税の例外的措置「物納」とは?

(※画像はイメージです/PIXTA)
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相続税は、金銭で納付することが原則となっております。 ただし、延納によっても金銭で納付することが困難な場合は、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、一定の相続財産によって相続税を納付すること(以下、「物納」といいます)が認められています。

 

物納は、金銭で相続税が納税できない例外的措置となりますので、その要件が厳格に定められています。 ここでは、「物納」の要件について、詳しく解説していきます。

「物納」の要件

相続税を「物納」するためには、以下の1~4の要件をすべてみたす必要があります。

 

1.延納によっても金銭で納付することを困難であり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること

 

2.物納する財産(以下、「物納申請財産」といいます)は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次に掲げる財産および順位(以下の3項目)で、その所在が日本国内にあること

・不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等

・ 非上場株式等

・ 動産

 

3.物納に充てる財産は、「管理処分不適格財産」に該当しないものであることおよび物納劣後財産に該当する場合には、ほかに物納に充てるべき適当な財産がないこと

 

4.物納しようとする相続税の納期限または納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること

 

要件3の「管理処分不適格財産」とは、不動産であれば、担保権の設定の登記がなされている、境界が明らかでない、耐用年数を経ている建物(通常の使用ができるものを除く)、権利の帰属について争いがあるものなどをいいます。また、株式であれば、譲渡制限株式や質権そのほかの担保権の目的となっている株式、共有に属する株式などをいいます。

 

いずれにせよ、換価が困難なものは、管理処分不適格財産に該当する可能性が高く、物納の要件3をみたさないこととなりますので、物納しようとする財産が「管理処分不適格財産」に該当するか、事前に確認するようにしましょう。

※参照:国税庁HP「No.4214 相続税の物納」

 

以上のとおり、物納については、物納できる財産に制限があったり、手続きの期限も設けられているため、早めの準備が重要となります。 相続税の納税資金が不足して、どうしても捻出できない場合は、物納が可能か、早めに税理士などの専門家に相談をして確認をするようにしましょう。

 

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