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一般的に、相続税では税務調査の確率が非常に高いといわれています。調査による指摘により、誤りや漏れが見つかった場合には非常に大きなペナルティが課されます。税務調査への対応は心理的な負担も大きく、準備や対応などに時間もかかることから、できれば避けたいと考えるのが通常でしょう。税務調査に狙われやすいパターンなどはあるのでしょうか? 相続税における税務調査の実態について、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

突然来ることはあるのか?相続税の税務調査の「時期」

(※画像はイメージです/PIXTA)
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税務調査と聞くと、テレビドラマなどのイメージからか、ある日突然調査官が大勢で自宅に押し掛けるような恐ろしい印象を持っている方も多いのではないでしょうか? しかし、そのように突然調査に訪れるケースは、決して一般的ではありません。税務調査には、次の2つのパターンが存在します。

 

1.任意調査は事前に日程調整の連絡がある

税務調査のほとんどは、この任意調査です。この場合、事前に電話や文書で税務調査官から税理士に調査日時の連絡が入ります。提示された日時の都合が悪ければ、別の日時に変えてもらうことも可能です。こうしてあらかじめ決めた日時に調査官が自宅等を訪れ、資料の提示を求めたり聞き取りをしたりして調査が行われます。

 

なお、名称が「任意」だからといって、調査を断れるわけではありません。また、税務調査官の質問に答えなかったり虚偽の回答をしたりすることはもってのほかです。税務調査自体や求められた資料の提出を拒否したり、税務署員の質問に答えなかったりなど非協力的だと判断された場合には、強制調査が行われる可能性があります。

 

2.強制調査は抜き打ちで調査に来る

強制調査とは、裁判所の許可を得て行われる強制的な税務調査です。 この場合には、強制的に証拠物件や書類が押収されます。 おそらく、テレビドラマなどで見る税務調査のイメージに近いのはこちらの方でしょう。

 

強制調査は、特に悪質と認められる場合や、脱税額が多額にのぼると考えられる場合にのみ行なわれる調査方法です。個人への相続税調査でいきなり強制調査が行われるケースはほとんどありませんので、よほど悪質な脱税をしているのでなければ、心配する必要はないでしょう。

相続税の税務調査を回避するには?

(※画像はイメージです/PIXTA)
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税務調査への対応は心理的な負担も大きく、また準備や対応などに時間もかかります。そのため、できれば避けたいと考えるのが通常でしょう。しかし、残念ながら税務調査を100%回避する方法はありません。ここでは、税務調査に入られる確率を少しでも下げる方法をお伝えします。

 

正しく申告をする

税務調査に入られる可能性を下げるための最も有効な方法としては、相続税を正しく申告することです。もちろん、わざと財産を隠すなどの脱税行為は、もってのほかです。それに加えて、うっかりミスを避けるために、次の点に注意をしましょう。

 

財産を正しく把握する

意図的に申告から除外するのでなくとも、財産の存在に気が付かなければ申告から漏れてしまうリスクがあります。たとえば、次のようなものは申告から漏れてしまいがちであるため注意しましょう。

 

・骨董品や宝飾品などの趣味の品

・ネットバンクやネット証券など

・インターネット上のみで取引をする口座の資産

・仮想通貨やNFTなどインターネット上で管理する資産

・共有不動産で、被相続人には固定資産税の納付書が届かないもの

・手元にある現金

 

生前贈与も把握する

相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人から亡くなる前3年以内に受けた贈与は相続税の対象となります。

 

年110万円以下の贈与であれば、原則として贈与税は非課税ですが、相続税へ足し戻す贈与には金額の下限はありません。つまり、たとえ10万円の贈与であっても足し戻しの対象となるのです。こうした生前贈与も相続税の申告から漏れないように注意しましょう。

 

また、名義こそ子や孫ではあるものの実質的には被相続人が管理をしていた預金は「名義預金」と呼ばれ、相続財産です。こちらも税理士とよく相談のうえ、正しく申告をしてください。

 

申告を税理士に依頼する

税務調査の可能性を下げるもう1つの方法は、相続税に詳しい税理士にきちんと申告を依頼することです。先ほども解説したとおり、自分で申告をすればどうしても漏れや誤りが生じる可能性が高くなります。その分、税務調査に入られる可能性も高まってしまうでしょう。

 

そもそも相続税の申告を自分で行うことは非常に手間が掛かるうえ、計算を誤ったり適用できるはずの補正や特例を見落としたりして相続税を納めすぎてしまうリスクもありますので、おすすめではありません。

 

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