近年、各業界のリーディングカンパニーを中心に「DX化」の動きが加速しています。いくつかの大企業はすでにその成功要因を公開しているため、そうした情報を参考に、中小企業や中堅企業でもDXに取り組む企業が増えています。しかし、「1つの成功事例を鵜呑みにして自社のDX化を進めるのは危険」だと、株式会社GeNEE代表取締役社長の日向野卓也氏はいいます。DX化に成功した企業の「共通点」をみていきましょう。
経営層の徹底した支援と見直しが「変革」を生む
4.目標実現に向けた継続的な支援
多くの企業が、現状探り探りDXプロジェクトを進行させています。予期せぬトラブルに巻き込まれたり、簡単には乗り越えられない障壁が突如現れたり、苦難の連続でしょう。しかし途中で頓挫してしまうと、いままでの苦労が水の泡です。
そうならないためには、1つ目の成功要因で挙げたように経営トップ層がしっかりと関与し、DX推進室のリーダーや担当者を裏側からバックアップする必要があります。
いつでも連絡が取れるような体制を整えたり、声の大きい部長がDXプロジェクトを阻害しているようであれば裏から根回しをかけたり、プロジェクト予算を超過しそうな場合は内容を精査したうえ追加予算を社長決裁で承認したり……。こうした継続的かつ徹底した支援が、組織変革に繋がっていきます。
5.プロジェクト評価方法の選定と運用
自社のDX化プロジェクトは長期間続く取り組みですから、適宜見直しをかける必要があります。しかし、数値による「定量評価」のみでは途中で息切れを起こす従業員が出てきます。
そのため、数値目標に加え、組織運営状況や仕組みの構築状況・企業文化の変化・DX人財のスキルセットなど、数値以外の「定性評価」ができるような方法を導入し、従業員の見えない頑張りや取り組みを適切に評価し、運用していくことも重要です。
まとめ
以上、DX化に成功した企業の「共通項」をまとめました。成功している企業の多くは、高い志を掲げ、片手間でDXを推進しようとはせず、勝てる陣を敷いたうえで経営トップ層がしっかりと関与しています。そして、数年間にわたる全社的な組織変革の意味と重要性を理解し、徹底的にやり抜く姿勢を持っているのです。
日向野 卓也
株式会社GeNEE
代表取締役社長
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株式会社GeNEE
代表取締役社長
東京工業大学環境社会理工学院、慶応義塾大学大学院経営管理研究科、慶応義塾大学ビジネススクール修了(MBA経営学修士取得)。国内最大手SIerである株式会社NTTデータなどで大手法人領域の事業開発・事業企画・財務企画等の業務に従事。
アメリカ・スタンフォード大学での海外研修を通じ、UCD(ユーザ中心設計)・UI/UXデザイン思考等を学ぶ。
現在、小売・流通業、製造業、食品業、飲食業、美容医療業・検査医療業の基幹システム、業務管理系システムの開発プロジェクトの他、組織全体を変革するDXプロジェクトを多数牽引。ユーザビリティの高いシステム及びスマホアプリの開発支援サービスを提供している。
GeNEEの会社概要
GeNEE開催セミナー
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執筆者:株式会社GeNEE DX/ITソリューション事業部
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連載「DX化」に失敗する社長たち…彼らはなにが悪かったのか