(※写真はイメージです/PIXTA)

小規模事業所では、体調不良のとき「相談できる相手はいるが言いづらい」が28.4%、「いない」が28.9%を占めています。こういう職場では、気軽に相談できる担当者や窓口をつくることが最初の一歩になります。産業医の富田崇由氏がコストゼロからできる健康経営について解説します。

体調不良で困っているとき相談できるか

■職場の健康管理の窓口となるリーダーを決める

 

小さな会社では統括安全衛生管理者を社長が務めることが多いと思います。10~50人未満の事業場は衛生管理者の選任義務はありませんが、代わりに衛生推進者をおくことが一応定められています。

 

この衛生推進者は職場の健康管理の窓口であり、職場の健康づくりのリーダーとなる存在です。小規模事業所では人事・労務の担当者がこの業務を兼ねることが多いようです。

 

小規模事業所でこのリーダーとなる人は社員みんなから信頼されていて、何かあったときに気軽に相談しやすい人が理想です。必ずしも本人が完全な健康体である必要はありません。病気を経験している人や通院している人、家族の介護の経験がある人などのほうが、不調のある社員や病気の不安を抱える社員が相談しやすいと思います。

 

こうしたリーダーがほかの社員の見本となるような人と組んで健康管理をしていくのです。職場の定期健康診断で長年オールAというような、心身の健康管理の意識が高い社員に協力してもらい、社員が実践しやすい具体的な取り組みの計画を考えたりするのもよいと思います。

 

従業員数が9人以下の少人数の職場では社長が自ら健康管理についての窓口になるケースもあると思いますが、それはそれでかまいません。

 

健康状態のような個人情報について「社長に何か言われるのはちょっと……」と社員に警戒されるのでは、と心配する経営者もいるかもしれませんが、これも「健康宣言」を示してから行えば不自然ではありません。社長が直々に社員の健康について気に掛けてくれている、という事実が社員にとって大きい安心感になることも多々あります。

 

私の経験でも少人数の職場で社員の心身の健康度が高いところは、社長が上手に社員の心身の状態を把握し気配りをしている印象です。

 

■「困ったときに気軽に相談できる」職場であることが重要

 

小さな会社の健康づくりでは社長や健康管理をするリーダーが、社員と向き合い、健康面や働き方のどういう点を改善したいかを話し合うことも重要です。

 

経営陣やリーダーの考えていることと従業員の意識とで落差が大きいと、有効な対策は行いにくいものです。社長は、流行りのストレスチェックなどのメンタル不調対策に力を入れようとしているけれど、従業員に話を聞くと「いやいや、そういうことを求めているのではなくて……」ということが意外にあります。

 

私たちが行った従業員50人未満の小規模事業所へのアンケートでは、経営者だけでなく従業員にも職場の健康管理について意見を聞いています。

 

「会社は従業員の健康管理はできていると思いますか?」という質問に対し、「十分にできている」という回答はわずか7.5%。「ある程度できている」が35.1%でした。

 

回答全体で最も多かったのは「どちらともいえない」で37.4%です。これは会社が健康管理の取り組みをしていないわけではないが、効果を感じられていない、あるいは、社員が求める健康支援とは合っていないということかもしれません。

 

残りの20%ほどは「あまりできていない」「ほぼできていない」との評価でした。自社の健康管理に十分に満足している経営者・従業員は、まだまだ限られていることがわかります。

 

また、会社の健康管理が「できている」と評価をした人と、「できていない」と評価をした人には理由についても尋ねました。そこで寄せられたのは次のような回答です。

 

「できている」派(「十分にできている」「ある程度できている」と回答)

 

・有給休暇が取りやすく、健康にも配慮してくれる (20代/男性/従業員/大阪府)
・ 体調不良の際にどこに連絡すればよいかの窓口がハッキリしている(30代/女性/従 業員/神奈川県)
・年に2回の健康診断を実施している(50代/男性/経営者/東京都)
・通院など、融通できるようにしている(50代/女性/経営者/大阪府)

 

「できていない」派(「あまりできていない」「ほぼできていない」と回答)

 

・体調不良のときでも休みにくい(20代/女性/従業員/東京都)
・経営者が仕事に追われて従業員の管理ができていない(30代/女性/従業員/北海道)
・自己管理に任せているから(40代/女性/経営者/埼玉県)
・人材が不足していて、健康面をフォローできる担当者がいないため(50代/男性/経営者/東京都)

 

要するに社員が通院のために休暇を取りたい、体調不良で困っている、そういうときに気軽に相談できる職場であることが重要なのです。

 

体調が悪くても休めない職場では社員の心身に大きな負担がかかります。不安を抱えながら勤務を続けること自体、大きなストレスになります。反対に、体調について相談する窓口が明確でいざというときにも温かくフォローしてもらえる環境であれば、社員は安心して休養・療養をしながら働くことができます。

 

先のアンケートでは、従業員に対して「体調を崩した際に、社内に相談できる人はいますか?」という質問も行っています。そこで「いる」と回答した人は42.7%でした。奇しくも、会社が社員の健康管理を「十分にできている」「ある程度できている」と回答した人とほぼ同じ割合です。

 

一方「相談できる相手はいるが言いづらい」が28.4%、「(相談できる相手は)いない」が28.9%を占めていました。こういう職場では、気軽に相談できる担当者や窓口をつくることが最初の一歩になります。

 

富田 崇由

セイルズ産業医事務所

 

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※本連載は、富田崇由氏の著書『コストゼロで作る小さな会社の健康な職場』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

コストゼロでつくる小さな会社の健康な職場

コストゼロでつくる小さな会社の健康な職場

富田 崇由

幻冬舎メディアコンサルティング

働く人の健康問題に注目が集まっていますが、組織として健康増進に取り組んでいる企業は多くありません。 「健康経営」や「従業員の健康づくり」は必ずしも産業医がいなければできないものではなく、小さな会社でもコストを掛…

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