銀行員「あなたのために言ってます」に騙されるな!鵜呑みにしたら「勝手に財産を処分」され…。銀行が“ゴリ押し”する「成年後見制度」の“真実”【行政書士が解説】

銀行員「あなたのために言ってます」に騙されるな!鵜呑みにしたら「勝手に財産を処分」され…。銀行が“ゴリ押し”する「成年後見制度」の“真実”【行政書士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「認知症で口座が突然、凍結…」こうした対策のために、成年後見制度と家族信託が比較されることが多い。どちらの対策がどのように有効なのか。相続に大きな影響を与える成年後見人制度と家族信託、それぞれのメリットやデメリットについて、行政書士であり、静岡県家族信託協会代表を務める石川秀樹氏が、具体的な例を交えて比較する。今回は、「成年後見と家族信託でできること」をそれぞれ一覧化し、分析する。

 

<8・9>生命保険の変更等の手続き、特に死亡保険

(※写真はイメージです/PIXTA)
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成年後見がほとんどであるが、よい選択肢とは言えない。また、ほかの選択肢もある。

 

生命保険の変更等の手続きを成年後見でするのは、大半は死亡保険金を受け取るためだ。しかし、他の動機の場合と同様に、成年後見は被後見人が亡くなるまで続く。そのためランニングコストがかさむ。他に何かやってくれるわけでもない。

 

お金の面の管理が窮屈になるだけで、本人も家族も「ありがたい」という気がしない。


また、保険会社に電話して確認したところ、他の選択肢として、死亡保険金、受取人と指定されていた人(例えば配偶者)が認知症であっても、「保険金額が1,000万円以下の場合は、家族でも法定相続人全員が実印を押せば、本人の口座に振り込んでもらえる」というものがあることが分かった。

 

<10>公的年金

公的年金は、家族でも対応できるが、準備が必要だ。

 

公的年金は、受取人本人が指定した口座に2ヵ月に1度振り込まれる。不幸なことに、本人の認知症などのために「年金受取口座が銀行によって凍結される」ことがないとはいえない。

 

そのような場合でも、年金自体はその口座に振り込まれ続ける。しかし引き出しができない、ということになる。まさに死活問題。なんとかしないと。

 

認知症のご家族から相談を受けた際には、私は「最低限、代理人カード(家族カード)を作っておきなさい。今後は本人ではなく、あなたがATMからおろすようにした方がいいですよ」と助言する。銀行に口座凍結の必要性を感じさせないことが肝要だ(つまり、本人に銀行と距離をおかせる)。


その上で、代理人カードはどこで作っておくか。作ってくれる銀行ならどこでもいいが、ゆうちょ銀行がおすすめだ。ゆうちょでは「本人が指定した人」については、同居などしていなくても代理人カードを作ってくれるからだ。

 

他行の多くは「生計一の3親等内の親族」を条件にしている。現代ではある程度の大人になってから同居する子がいる家族は、あまり多くはない。《銀行も現実を知ってサービスの質をあげてくれよ!》といいたくなる。

 

同じ理由で、年金受取口座もゆうちょ銀行に切り替えることをおすすめしたい。もちろん家族には手間でもATMからの引出は手伝ってあげてほしい。口座凍結リスクを少しでも減らすことは、老親がいる家族では常識だ。

次ページ「遺言」があっても後見人が財産を処分してしまうことも…

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