医師「後見人を付ければ、診断書やれるんだけどなぁ」…90歳母を持つ女性に、専門医が放った責任逃れな“衝撃的一言”【行政書士が解説】

医師「後見人を付ければ、診断書やれるんだけどなぁ」…90歳母を持つ女性に、専門医が放った責任逃れな“衝撃的一言”【行政書士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「成年後見人を付ければ、すぐ診断書やれるんだけどなぁ」。医師は次第に語尾を強め、しまいには「成年後見人を付けないと、お母さんの財産は最後には国に持っていかれちゃうんですよ!」…認知症にも詳しい脳神経科医が、90歳の「お母さん」を持つ女性に言った実際の一言です。結論から言うと、今回のケースにおいてこの言葉はまったくもって真実ではありません。こうした発言には、医師の衝撃的な思惑があるかもしれません…。行政書士であり、静岡県家族信託協会代表を務める石川秀樹氏が、実話をもとに紹介します。

認知症や脳梗塞の人の財産は国に没収されてしまう⁉

「成年後見人を付けないと、お母さんの財産は最後には国に持っていかれちゃうんですよ!」

 

認知症や脳梗塞を診ている脳神経科の専門医師が、相談に訪れた娘さんにこんなことを言ったそうだ。ウソも休み休み言ってもらいたい。

 

意思能力や判断能力がなければその人の財産は国に没収されてしまう、だって!? こうまで言って「成年後見」に誘導したい心根は何なのだろうか。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

医師からの執拗な説得。挙句、放たれた“衝撃的な一言”

熊本県の女性から、泣き出しそうな切迫した声で、突然電話をもらった。

 

「母に成年後見人をつけないとダメなのでしょうか!?」

 

以前、遺言の相談にお答えした旧知の人からである。詳しく事情を聴いた。

 

この方のお母さんは突然の交通事故により、ほとんど意思疎通ができない状態となってしまった。そして、いまは女性が在宅介護をしている。

 

そんな折、病院や施設への送り迎えのために“介護用車両”を購入しようとした。お母さんの定期預金が長年使われずに残っていたので銀行に行き、解約して引き出そうとした。

 

窓口の行員はにべもなく「成年後見人を付けてくれないと無理です」と答えた。まあ当然、銀行はそう言うだろう。

 

だが彼女の説明をもう少し聞くと、この銀行、捨てたものではなかった。

 

「銀行ははじめそう言っていたのですが、いろいろ説明すると『車のディーラーの請求書とお医者さまの診断書を持ってきてくれれば解約に応じます』と約束してくれたんです」

 

この回答は素晴らしい! 成年後見制度に丸投げせず、お客さまの事情をしっかり聴いて、なんとかしてあげようとする銀行があるなんて。

 

そして、彼女は病院に行った。母親は事故に加え脳梗塞も発症していたので、脳神経科に通っていた。

 

診断書を求めると医師は、

 

「この場合、成年後見人を付ければ、すぐやれるんだけどなぁ」

 

とぼやきつつ、柔らかく、しかし執拗に彼女を説得し始めた。挙句の果てにこんなことを言った。

 

「成年後見人を付けないと、お母さんの財産は、最後には国に持っていかれちゃうんですよ!」

 

彼女は驚いてしまった。

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