(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症になったら自分に、あるいは家族にどういう影響が出るか、ちゃんと知っているだろうか。認知症になると「自分のことは自分で決める」が、まったく通らなくなる。そのため、家族に大きな負担をかけないためにも、ぜひ事前に対策をしてほしい。行政書士であり静岡県家族信託協会代表の石川秀樹氏に詳しく解説いただく。

定期の解約/ローンも組めない

【銀行】

預貯金に関する取引(預貯金の管理、振込み・払戻し/口座の開設・変更・解約)

「キャッシュカードがあり暗証番号を知っていれば、当面は何とかなる」というのは甘い。なぜなら100万円超の「定期預金」は、カードでおろせないし、代理人では解約できないからだ。

 

高齢者の大半は、定期預金が大好きで、大きなお金はほぼ確実に定期預金にしている。とても危険だ。自分のお金を使えずに、あなたは生きていけないはずだ。

 

貸金庫取引

貸金庫を借りることができない、というより、借りて、使っている最中にあなたが認知症になると、大きな問題が起きてくる。本人以外の人がいくら要請しても、貸金庫は開けられなくなるからだ。

 

預金通帳やキャッシュカード、実印、不動産の権利証(登記識別情報)、宝石・貴金属など“大切なもの”に限って、あなたは貸金庫に入れてしまう。家族はお手上げだ。

 

保護預かり取引

銀行や証券会社などの金融機関で購入した有価証券の本券を預けておくこと。つまり、銀行や証券会社で株式や債券、投資信託などを売買できなくなる。

 

融資取引

銀行から融資を受けられない。借入、ローンが組めなくなる。不動産オーナーは、稼働率アップの施策を講じられなくなる。

 

保証取引

連帯保証人を立てなければならない取引は行えない。

 

担保提供取引

住宅ローンなどの各種ローンや借入など、担保提供を必要とする一切の取引ができなくなる。

 

為替取引

振込や口座振替ができなくなる。

 

信託取引

金銭・有価証券・不動産などを銀行に預けて運用してもらうことができなくなる。

 

【生命保険】

保険契約の締結・変更・解除/保険金の受取

認知症になると保険に入れない。あなたが受取人である保険の、死亡保険金も受け取れない。日本の高齢者は保険が大好きだ。老後のためにとせっかく貯めてきたお金を、生保や銀行、証券会社にすすめられて、運用利益を得ようと生命保険に回してしまう。

 

いざ自分のためにお金が必要になった時、解約もできないなんて。“保険の掛け過ぎ”を家族らが指摘しても、変更、解約は認知症になっていればできない。

 

また受取人が配偶者である場合、配偶者の認知症が進んでいると「この人のために」と掛けていたのに、保険金が受け取れない。注意したいところだ。

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※本稿では、「できないこと、後見人として実行すべきではないこと」には赤いマーカーを付けている。

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