なぜ「名前を呼ばれる」と嬉しいのか
③名前を呼ぶ
人間が最も反応を示す言葉は何だと思いますか?
それは、自分の名前です。
実際に「あ」から「ん」までのひらがな全部に点数をつけてもらう実験をした結果、多くの人が自分の名前にある文字に高得点をつけることがわかっています。出退勤の挨拶などで、ただ「おはようございます」とか「お先に失礼します」などと言われるよりも、
「佐藤さん、おはようございます」
「田中さん、お先に失礼します」
と言われたほうが好ましく感じるものです。そこで、お客様との会話や挨拶では、
「〇〇さま、いつもお世話になっています」
「〇〇さまはどうお考えですか?」
「そういえば〇〇さま」
といったようにお客様の名前を呼ぶようにしましょう。
心理学者のウィリアム・ジェームズが「人間の持つ性情のうちで最も強いものは他人に認められることを渇望する気持ちである」と言っているように、人は相手から認められたいという強い欲求を持っています。
これを「承認欲求」と言いますが、会話の中で名前を呼ぶと相手と仕事上の役割として関わっているのではなく、一人の人間として尊重している気持ちが伝わるので、認められているという承認欲求を満たすことになります。
ちなみに、会話中に相手の名前を呼んで好意や信頼を得ることを心理学では「ネーム・コーリング・テクニック」と言い、コミュニケーションスキルの基本の1つです。
④ペーシングやミラーリングをしながら聴く
私は初めて会った人やまだ親しくなっていない人と話すときには、相手の話のペースと動作に自分も合わせるようにすることを習慣にしています。相手がゆっくりしたペースで話すなら、私もゆっくりのペースで話し、相手が身振り手振りが多いなら私も意識してそれに同調するようにしています。このように、相手にペースを合わせるようにして、信頼関係を構築するコミュニケーション手法が「ペーシング」です。
相手のしぐさをマネする感じですが、こうすることで相手は少しずつ共感してくれるようになります。これを心理学用語で「ミラーリング」と言います。
また、相手と話すペースや声のトーンを合わせることで、込み入った会話でも共通理解することができるようになりますが、このテクニックを「マッチング」と言います。
人は相手から同調されると安心感とともに好感も抱くようになります。その効用を期待して行うのが「ペーシング」「ミラーリング」「マッチング」であり、「バックトラッキング」も同じことです。
そして、ワンランク上のペーシングがあります。
それは、「呼吸を合わせること」です。
相手の「吸う」「吐く」の呼吸のタイミングを同じにすると、相手との一体感が感じられるようになります。
ただし、これらを行ううえで注意することがあります。
あくまでも、さり気なく行うことです。相手の言動を完全にコピーするようだと逆に気味悪がられます。
⑤話を促す短い質問をする
傾聴の目的の1つが、相手に気持ちよく、たくさんの話をしてもらうことです。それには、質問の仕方が重要です。そこでお勧めしたいのが、話を促すための短い質問です。
「それで?」「それから?」は、最も基本的な短い質問です。そして、相手が心に思うことを引き出すためにコーチングで使われる短い質問が次の3つです。
・「他には?」
・「具体的には?」
・「何のために?」
コーチングとは、相手の話を傾聴し、質問を投げかけながら相手の心の奥にある答えを引き出すためのコミュニケーション術です。
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