本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が2月1日に配信したレポートを抜粋したものです。

〈元のレポートはコチラ〉

世界で進む「気候変動のない未来」に向けた動き

先月エジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)の終盤は、どちらかと言うとしんみりとした雰囲気でした。ロシアのウクライナ侵攻により、各国はエネルギー需要を燃料炭などの化石燃料に頼らざるを得ず、ネットゼロ経済への移行は先送りになるでしょう。

 

しかし、COP27では、気候変動のない未来を実現するために、公共政策、規制、技術革新を活用する必要性も強調されました。

 

世界中で行われている気候変動対策プロジェクトを必要な規模で支援するためには、莫大な資金が必要であることは、もはや明らかです。

 

国際エネルギー機関(IEA)は、特に途上国での損失や損害を考慮しない場合でも、クリーンエネルギーへの移行だけで年間兆米ドル単位のコストがかかると試算しています(※1)。

※1.出所:国際エネルギー機関「Net Zero by 2050」、最終更新2021年5月。

 

COP27において、低所得国による気候変動の悪影響への対処をサポートするための基金を創設するという画期的な合意がなされたことは、世界の指導者たちがこの事実を認識していることを示唆しています。

 

しかし、寄付や国際開発金融機関からの資金だけでは十分ではありません。民間企業もまた、その一翼を担わなければなりません。

 

これまでのところ、世界の資本市場の大きな潜在力を引き出すための明確な道筋は見えていません。しかし、希望を抱くには十分な理由があると言えるでしょう。

 

まず、各国政府はより質の高いデータの確保に向けて大きな前進を遂げました。昨年、欧州連合(EU)が従来の枠組みを見直す包括的な指令(※2)を出したのに続き、3月には米国証券取引委員会が一部の企業に対し、気候変動によるリスクに関する情報開示を義務付けることを提案しました。

※2.出所:欧州委員会、企業サステナビリティ報告指令。

 

その数ヵ月後には、中国証券監督管理委員会が同様の措置を提案しました。世界三大経済圏のハイクオリティな気候リスクデータにより、投資家は持続可能なテクノロジーのリスクとリターンのトレードオフを評価することができるようになるでしょう。

 

しかし、このような分析ツールが重要な役割を果たす一方で、投資家にはインセンティブも必要です。

 

そこで登場するのが、カーボンプライシング(炭素の価格付け)と税金です。EUが最近採択した炭素国境調整メカニズムは、欧州の措置とはいえ、おそらく世界的な影響をおよぼすでしょう。欧州に商品やサービスを輸出している国々は、炭素排出量を減らすことが自国の商業利益につながることをすぐに理解するからです。

 

米国の新インフレ抑制法は、それ自体は炭素税を課していませんが、炭素の回収・利用・貯蔵を含むクリーンエネルギーと気候関連支出へのインセンティブを提供することで、米国が炭素排出の価格付けに近づいていることを意味しています。

 

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