(※写真はイメージです/PIXTA)

口約束で、契約書に代えて取引をするケースは、友人関係ならそれほどめずらしくないかもしれません。いわば、2人の絆が担保の契約。問題は2人の関係が“何らかの事情で壊れた時”です。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、契約書のない取引の有効性について鈴木崇裕弁護士に解説していただきました。

信頼関係や人間関係まで必ずしも継承されない!

今回のご相談のように、契約の当事者が知人友人や親族であるときに、契約書を作成しないで建物などを使用している場合があります。

 

契約書を作成しなくても契約自体は有効に成立するのですが、相続が発生して契約の当事者が変わってしまった場合や、もともとは親しかった関係が何かの理由で悪化してしまった場合などで対立が生じたとき、契約の内容を証明することが困難になり、不利益を受けてしまう可能性があります。

 

相続が発生しても、基本的には従前の法律関係が承継されますが、信頼関係や人間関係までは必ずしも承継されませんので、紛争への備えが必要になります。

 

借主の立場で賃貸借契約があることを主張するためには、毎月一定の金銭を支払ってきている事実の証明がもっとも効果的といえます。銀行振込などで記録が残っていれば一番良いですが、仮に手渡しの場合でも、領収印を得ておけば問題はないでしょう。

 

他方、今回のご相談は仕事の報酬と相殺するという約束で金銭の支払いがされていないとのことですので、本当に賃料の支払いと同視できるほどの仕事を継続的にしてきているといえるかどうかがポイントになります。

 

不動産に抵当権が付されていることや、抵当権者が誰かということは、不動産の登記事項証明書を取得することで直ぐに分かります。

 

登記事項証明書は誰でも取得することができますので、購入を検討している場合はもちろん、抵当に入っているかどうかなどの不安がある場合には、最初に確認しておくべきです。

 

なお、登記事項証明書には不動産の所有者も記載されていますが、相続が発生して間がないときなど、名義変更が済んでいない場合もあります。遺産分割で揉めた場合や、相続人が高齢とか大人数で手続きが滞ってしまう場合などには、相当長期間、名義変更されないままになっていることもあります。

 

賃貸借契約の場合、名義変更が未了でも賃料は支払わなければなりませんので、判明している相続人に連絡をとって賃料の支払方法や、名義変更の進捗状況を確認しましょう。

 

もちろん、今回のような問題を回避するため、きちんとした契約書を作成しておくに越したことはありません。

 

複雑なものでなくても、行政機関や業界団体が一般向けに公開している契約書のひな形を適宜利用すると良いでしょう。

 

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