(写真はイメージです/PIXTA)

日本経済は長きにわたるのデフレにより、「お金を持ち続ける」「資本を温存する」といった“深刻なデフレ・マインド”が蔓延してきました。しかし、そんな日本経済にいま「明るい兆し」があると、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏はいいます。この「日本経済復活」のきっかけをつくった日銀の決断と、武者氏が見込む日本の明るい展望について、詳しくみていきましょう。

実は先進国中で「もっとも明るい」2023年の日本経済

今年の日本経済展望は先進国のなかでもっとも明るい。2023年の成長見通しをIMFは米国1.0、ユーロ圏0.5%、日本1.6%(2022年10月時点)、OECDは米国0.5%、ユーロ圏0.5% 、日本1.8%(11月時点)、世銀は米国0.5%、ユーロ圏0.0%、日本1.0%(2023年1月時点)と予想しており、先進国のなかで日本が1番高くなっている。

 

日本経済は、

 

1.世界的金融引き締めのなかで唯一緩和基調が維持されていること
2.パンデミックに対する過剰反応及び消費税増税によりコロナ後の経済の落ち込みが主要国中でもっとも大きかったが、その反動が期待できること(コロナ禍直前の2019年10月の消費税引き上げが1.2~3%程度日本の総需要を抑制し続けてきた)
3.円安のプラス効果が発現すること

 

など多くの固有のプラス要因がある。

 

それなのに年初、世界株高のなか、日本株は大幅な下落でスタートした。欧米では利上げの打ち止めが見え始めているのに、日本ではこれから利上げが始まるとの観測がグローバル投資家のあいだに広がったからである。

 

しかしそれが誤解であることは以上の説明から明らかであろう。グローバル投資家は日本株式を再評価してくるものとみられる。

 

[図表8]主要株式指数の推移(2022年末=100)

 

黒田総裁の“歴史的英断”が資本の大移動を引き起こす

YCCが「インフレ予想を促しながら、それを反映する金利を人為的に抑制するのは矛盾している。2%インフレが達成されるなら放棄せざるを得ない政策であった」(日経新聞「大機小機」1月21日)。

 

そうした無理のある政策が必要となったのは、金利がマイナスに沈み、円高が進行するという異常な金融事態が起きていたからである。円高の懸念、マイナス金利の懸念が払拭されたいまは、正常化に向けての好機であった。

 

このタイミングで黒田総裁はYCC変更を市場の意表をついて挙行し、インフレ期待を高め長期金利上昇を示唆して人々の投資行動の変容を引き起こした。それが株式需給を根底的に変え、資本の大移動を引き起こすものとなるかもしれない。

 

その判断の正しさは、これから起こる日本株高で証明されることになるだろう。後世に歴史的英断と評価されるかもしれない。

 

 

武者 陵司

株式会社武者リサーチ

代表

 

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※本記事は、武者リサーチが2023年1月23日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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