地政学が分かつ株式パフォーマンス
日本株独歩高、米国堅調、中国の蹉跌
2024年は、突出した日本株高で幕が開けた。最初の7営業日で日経平均8%、2,700円高、米国株式も堅調、NYダウはすでに昨年末に史上最高値を更新した。SP500も昨年11~12月に14%上昇し、史上最高値に肉薄している。
しかし他方では中国株は昨年来の下落を続けている。2023年年初来の株式のパフォーマンスを比較すると、日経平均株価+36%、米国SP500+25%、ドイツDAX+19%、英FT100+2%、中国上海総合-7%、韓国総合+13%、台湾加権+24%と主要国株価のなかで日本株は突出している。このパフォーマンス格差は地政学によりほぼ説明できる。
日本株を支える米国国益
日本株の好調さは「米国の日本支援」が支えている。米中対立が深刻化し、かつて日本たたきに狂奔した米国が、対中デカップリングのために強い日本を必要とし、そのための円安を容認するようになったのである。
過去30年間に中国+アジアNIES(韓国台湾香港)の台頭が顕著であったが、それは日本の競争力衰弱によって実現した。この一人被害者日本の状態が逆転する。大幅な円安の定着により、日本経済の大きな枠組みが変わった。
円高が原因となったデフレの時代が終わり、2023年の日本経済はバブル崩壊後最も明るい数量景気の年となったが、2024年はそれが加速するだろう。
円高で日本から海外に逃げて行った工場や資本、ビジネスチャンス、雇用が、円安によって日本に戻ってきつつある。企業収益と設備投資は空前の水準になった。米中対立により半導体投資ブームが佳境に入ってきた。TSMC熊本では第三期拡張が決まったようである。
空前の企業の収益に加えての円安(日本人の給与は世界平均に対して4割安くなった)で5%賃上げが確実視される情勢である、念願のデフレ脱却、2%インフレが見えてきた。円安はまた、インバウンドを増加させ、外国人観光客が日本の津々浦々の地方内需を刺激している。
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