(※写真はイメージです/PIXTA)

前年から続く日本株の好調さ。日経平均株価はバブル期以来34年ぶりの水準をつけています。その理由について株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏は、「米国の存在」を指摘します。日本株高の背景にはいったいなにがあるのか、またこの流れは今後も続くのか……詳しくみていきましょう。


地政学が分かつ株式パフォーマンス

日本株独歩高、米国堅調、中国の蹉跌

2024年は、突出した日本株高で幕が開けた。最初の7営業日で日経平均8%、2,700円高、米国株式も堅調、NYダウはすでに昨年末に史上最高値を更新した。SP500も昨年11~12月に14%上昇し、史上最高値に肉薄している。

 

しかし他方では中国株は昨年来の下落を続けている。2023年年初来の株式のパフォーマンスを比較すると、日経平均株価+36%、米国SP500+25%、ドイツDAX+19%、英FT100+2%、中国上海総合-7%、韓国総合+13%、台湾加権+24%と主要国株価のなかで日本株は突出している。このパフォーマンス格差は地政学によりほぼ説明できる。

 

出所:ブルームバーグ、武者リサーチ
[図表1]主要国株価指数の推移(2003年初以降と2009.3.9以降) 出所:ブルームバーグ、武者リサーチ

 

日本株を支える米国国益

日本株の好調さは「米国の日本支援」が支えている。米中対立が深刻化し、かつて日本たたきに狂奔した米国が、対中デカップリングのために強い日本を必要とし、そのための円安を容認するようになったのである。

 

過去30年間に中国+アジアNIES(韓国台湾香港)の台頭が顕著であったが、それは日本の競争力衰弱によって実現した。この一人被害者日本の状態が逆転する。大幅な円安の定着により、日本経済の大きな枠組みが変わった。

 

円高が原因となったデフレの時代が終わり、2023年の日本経済はバブル崩壊後最も明るい数量景気の年となったが、2024年はそれが加速するだろう。

 

円高で日本から海外に逃げて行った工場や資本、ビジネスチャンス、雇用が、円安によって日本に戻ってきつつある。企業収益と設備投資は空前の水準になった。米中対立により半導体投資ブームが佳境に入ってきた。TSMC熊本では第三期拡張が決まったようである。

 

空前の企業の収益に加えての円安(日本人の給与は世界平均に対して4割安くなった)で5%賃上げが確実視される情勢である、念願のデフレ脱却、2%インフレが見えてきた。円安はまた、インバウンドを増加させ、外国人観光客が日本の津々浦々の地方内需を刺激している。

 

出所:OECD、武者リサーチ
[図表2]購買力評価とドル円ルート推移 出所:OECD、武者リサーチ

 

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※本記事は、武者リサーチが2023年12月30日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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