成功の絶対条件は「すぐに行動できるか」
すぐれたアイデアを思いついた時に、すぐに行動できるかどうかは起業家にとって成功の絶対条件となる。
条件が整うのを待つとか、「とりあえず〇×を卒業してから」などと考えていては、せっかくのアイデアも水泡に帰してしまう。
ジェフ・ベゾスがインターネットの爆発的な成長に気づいたのは、1994年初めのことだが、べゾスは「年に2300%も成長しているとなると、すぐに行動に移さなければなりません」と言って、すぐに金融関係の会社の副社長の座と高額なボーナスを捨て、起業のためにシアトルへと向かっている。
フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグも、自分のつくったフェイスブックが全米の大学で大人気となっていることに気づくや否や、「ハーバードの大学生ならいい仕事にいくらでも就けるけれど、ソーシャルネットワークビジネスを始められるハーバード大学生はいない」と言って、ハーバード大学を中退、起業に踏み切っている。
マスクにも「アイデアがあったらすぐに行動に移す」実行力はあったが、マスクの場合、この2人以上にお金も人脈もなかった。
それだけに、この時のマスクの決断の速さには驚くばかりだが、結果的にこの大胆な決断が、その後のマスクの人生を大きく切り開くことになる。
1999年、「Zip2」を2200万ドル(約30億円)でコンパックに売却したマスクは、その年、オンラインの金融サービスを提供する「Xドットコム」(後にコンフィニティ社と合併「ペイパル」となる)を起業する。
しかし、このペイパルも2002年にイーベイに売却し、1億6500万ドル(約223億円)もの大金を手に入れる。
多額の学費ローンを抱えながら「Zip2」を起業したのが1995年のことだから、マスクはわずか7年で大金持ちになったことになる。
そして、これは「アイデアがあったらすぐに行動を起こす」の賜物だったとして、後にこう話している。
「あなたが会社をつくるつもりなら、最初にやってみるべきことは、実際に動く試作品をつくることです」
“まず動き、実際にものをつくってみる”
これこそマスク流「すぐやる人」の仕事術である。
桑原 晃弥
経済・経営ジャーナリスト