コンピュータとの運命的な出合い
■先延ばし癖をやめろ。やりたいことを「今すぐ」やれ!
イーロン・マスク最大の特徴は、「こうしたい」「あれをしたい」と思ったら、すぐに行動に移すところだ。たいていの人はやりたいと思っても、あれこれ理由をつけてやらなかったり、「まだその時期ではない」と先延ばししたりする。
しかし、マスクの場合は、子どもの頃から「思いついたらすぐに行動に移す」が習慣となっている。
1971年、南アフリカ共和国に生まれたマスクは、「1日10時間、本にかじりついていることも珍しくなかった」というほどの本好きで、家族でショッピングに行くと、必ず行方不明になった。というのも、書店を見つけては、そこでフロアに座って本を読むのが習慣となっていたからだ。
そんな読書好きのマスクが、コンピュータに出合ったのは11歳の時だった。
見た瞬間、「これはすごいぞ」と思ったマスクは、父親にコンピュータを買ってくれるようしつこくせがんだ。しかし、エンジニアだった父親はなぜかコンピュータに懐疑的ですぐには買おうとしなかった。それでも諦めきれないマスクは、家の近くで開催されたコンピュータのカルチャー講座を受けたいと父親に願い出た。
マスクがあまりに熱心なので、父親が受講について問い合わせたものの、「11歳の子どもには無理だ」と一旦は断られてしまう。
しかし諦めないマスクはその後、このコースに入会しただけでなく修了までこぎつける。その上、父親でさえ途中退席してしまった、ある大学が主催した一般向け3時間コースをも修了し、あまりの熱心さに感心した教授から「この少年にコンピュータを与えるべきだ」というお墨付きをもらったほどであった。
これでは、さすがの父親もコンピュータを与える他はない。ほどなくして自宅にコモドール社のコンピュータ「VIC −20」が届き、そこにはプログラミング言語「BASIC」の手引書がついていた。
この手引書は6ヶ月で全課程が学べるようになっていたが、コンピュータで何かをやりたいと考えていたマスクは「極度の強迫観念に駆られて、3日間一睡もせずに格闘して全部終わらせてしまった」という。
また12歳の時には、宇宙が舞台のSFビデオゲーム「Blastar」をつくり上げ、南アフリカの業界誌にそのゲームを送った。すると、その雑誌に「Blastar」のソースコードが掲載され、500ドル(約7万円)の謝礼を手にしたというから、その行動力には舌を巻くしかない。
このように「△〇がしたい」となったら、年齢など気にすることなく突き進み、徹夜をしてでも学び、そこから形あるものをつくり上げてしまう。
これが、マスクの子ども時代から変わらないスタイルだった。