多額の学費ローンを抱えながら「Zip2」を起業したのが1995年のこと。イーロン・マスクはわずか7年で223億円の大金持ちになる。経済・経営ジャーナリストの桑原晃弥氏が著書『イーロン・マスク流 「鋼のメンタル」と「すぐやる力」が身につく仕事術』(プレジデント社)で解説します。

宇宙ビジネスへの参入を本気で考えた

■アイデアを「語る人」になるな。「実行する人」になれ!

 

ペイパルの売却によって、1億6500万ドル(約223億円)の資金を手にしたマスクは、それまで「アイデアがあっても資金の関係で実行できなかった」ことを、具体的にスタートさせていく。

 

当時の思いをこう話している。

 

「21世紀に課された最大の課題はエネルギー問題です。ガスや石油。もうそれが枯渇しかかっていることは皆、知っています。早く消費エネルギーから持続可能なエネルギーにシフトしていかないと。また、さらにその先のことを考えた、人間の移住先としての宇宙空間にも強い関心を持っています」

 

目指していたのは、地球環境を守るための持続可能なエネルギーの実現と、人類に新しい環境を築くための宇宙への旅立ちだ。

 

この頃からマスクは、宇宙ビジネスへの参入を本気で考えるようになっていく。

 

例えば、火星に「バイオスフィア」とよばれるミニ地球環境を持ち込んで植物を栽培すると、どれだけコストがかかるかを専門家に試算してもらっているのだ。

 

そして、専門家から算出された金額は、マスクにとって負担可能な金額だった。

 

しかし、問題は必要な資材をどうやって火星に運ぶかである。

 

ボーイング社製のロケットを使って必要な資材を運ぶとすれば、さらに6億ドル(約810億円)が必要となる。

 

この金額は、さすがのマスクの手にも負えなかった。しかし、そのくらいでは自分のアイデアを諦めないのがマスクである。

 

「他に安いロケットがあるのではないか」と考えたマスクはロシアに出かけ、関係者と価格交渉を行なう。が、どうしてもロシア製ロケットの性能を信頼することができない。

 

となると、後は自前でつくるしかない。とはいっても、お金も労力も時間もとんでもなくかかる事業だ。普通の人ならここで諦めるところである。しかし、マスクは違った。

 

「こうなったら、自分でロケットをつくるしかない」

 

安くて信頼性の高いロケットを誰もつくれないとしたら、自分でつくればいい。

 

そう考えたマスクは、すぐに行動に移す。

 

2002年、マスクはロケットの開発会社「スペースX」を設立、自らCEO(最高経営責任者)兼CTO(最高技術責任者)に就任したのだ。

 

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※本連載は桑原晃弥氏の著書『イーロン・マスク流 「鋼のメンタル」と「すぐやる力」が身につく仕事術』(プレジデント社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

イーロン・マスク流 「鋼のメンタル」と「すぐやる力」が身につく仕事術

イーロン・マスク流 「鋼のメンタル」と「すぐやる力」が身につく仕事術

桑原 晃弥

プレジデント社

世界一の大富豪にして、ツイッター買収騒動を起こし、「日本消滅」をツイートした男、イーロン・マスク。2022年版『フォーブス』の長者番付で、マスクは「世界一」の座に輝いた。総資産は2190億ドル(約30兆円)と、2位のアマゾ…

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