消費税の「インボイス制度」とは
まず、消費税のインボイス制度の概要について解説します。なお、消費税のしくみについてのより詳細な情報は1月18日の記事「どうするインボイス制度!事業主の8割が総スカンで制度崩壊の足音迫る!?」をご覧ください。
◆消費税の「価格転嫁」のしくみ
消費税は、「事業者」が直接の納税義務を負います。一般消費者は、事業者が「消費税相当額」を価格に転嫁している場合に、価格の一部として支払っているにすぎません。すなわち、一般消費者は、消費税相当額を負担している「ことがある」にすぎないのです。
なお、税法理論上、消費税のような、「納税義務者」と「税負担者」が一致しない税金を「間接税」といいます。
ただし、消費税の「納税義務者」である事業者は、消費税相当額を価格に転嫁することを法的に義務付けられてはいません。
すなわち、事業者は商品・サービスの「価格の一部」として消費税相当額を転嫁するかどうかを自己責任により「決めさせられている」という実情があります。
そして、価格は需要と供給のバランスで決まります。特に大企業と中小事業者の力関係においては、中小企業は価格交渉において不利な立場にあります。そのような交渉の結果として決まった価格が「税込み価格」か「税抜価格」かという形式論はあまり意味を持ちません。
◆消費税の「本則課税」の計算方法
次に、消費税の計算方法のうち「本則課税」である「仕入税額控除」について解説します。インボイス制度はこの「仕入税額控除」にかかわるものだからです。
「仕入税額控除」においては、事業者が国に納税する「商品・サービスを販売した際に受け取った消費税相当額」から、「仕入れの際に支払った消費税相当額」を控除して算出します。
商品・サービスを販売して「売上」として受け取ったお金に含まれる「消費税相当額」から、仕入れ等で「経費」として支払ったお金に含まれる「消費税相当額」を差し引いて、納税するということです。
◆インボイス制度が機能する場面とは
インボイス制度は、上記「仕入税額控除」の際に、「仕入の際に支払った消費税相当額」を証明する資料について「適格請求書」(インボイス)しか認めないという制度です。
事業者は、「仕入れの際に支払った消費税額」を証明するために、取引先から決まった様式の「適格請求書」(インボイス)の発行を受けなければならないというものです。
「実質的な増税だ」と批判されているのは、インボイスは「課税事業者」でなければ発行できないからです。
年間売上1,000万円以下の「免税事業者」はインボイスを発行できないのです。
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