(写真はイメージです/PIXTA)

相続の相談先には弁護士や税理士、行政書士……といった多くの選択肢があり、内容によっては、特定の専門家にしか対応できないケースもあるといいます。本記事では、ケース別に相談先となる専門家の選び方を解説します。

【専門家別一覧】相続業務でできること

お身内の相続に関してなにか困った事態が生じたり、手続きを依頼したいと考えたりした際に、どこに相談すべきか迷ってしまう人は少なくないかと思います。なぜなら、一口に「相続」といっても困りごとの内容は多種多様であることに加え、その困りごとの解決手段はさまざまな専門家の専門領域にまたがっている場合が多いためです。

 

[図表]相続の相談先となる専門家の種類とできること

 

はじめに、相続の相談先となり得る専門家の特性について解説していきましょう。

 

弁護士

弁護士は、社会で生活するうえで起きる事件や紛争について、法律の専門家として適切な予防方法や対処方法、解決策をアドバイスする専門家です。日本弁護士連合会は、これを「社会生活上の医師」と表現しています。

 

弁護士は高度な法律専門職であり、紛争性のある法律事件の解決や紛争の仲裁などは、原則として弁護士以外が行うことはできません。そのため、すでに相続争いが起きている相続の相談先は、原則として弁護士一択となります。

 

司法書士

司法書士は、登記や裁判事務の専門家です。相続の場面では、故人名義の不動産の名義変更や相続放棄の手続きで関わることが多いでしょう。これらの業務は司法書士と弁護士の独占業務であり、司法書士と弁護士以外の者が相続登記や相続放棄手続きなどを行うことはできません。

 

なお、資格上は可能であるとしても現実的には弁護士が相続登記を行うことはさほど多くはないため、相続登記は司法書士業務であると考えて差し支えないでしょう。また、司法書士は認知能力が衰えた際に財産管理を行う成年後見業務にも力を入れています。

 

行政書士

行政書士は、書類作成の専門家です。弁護士法や司法書士法、税理士法などほかの法令で禁止されているものを除き、役所など官公庁に提出する書類の作成や権利義務に関する書類の作成などを専門としています。

 

相続の場面では、紛争性がない相続での遺産分割協議書の作成や自動車の名義変更などで関わる場合が多いでしょう。

 

税理士

税理士は、税務に関する専門家です。ただし、税理士によって専門分野が異なる場合があり、すべての税理士が相続税に力を入れているわけではありません。相続税の申告が必要となる相続では、相続税に強い税理士が非常に心強いパートナーとなってくれることでしょう。

 

金融機関

金融機関が相続の相談を受けている場合があります。ただし、金融機関自体は相続の専門家ではなく、金融機関に持ち込んだ相続の相談は、内容に応じて提携先の弁護士や税理士などが対応することとなる場合が多いでしょう。金融機関は、相談内容に応じて専門家を紹介したり、相続が起きた後の資産運用のアドバイスをしたりする役割を担っています。

 

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