◆毎年度コンスタントに同程度の利益が発生する場合
次に、毎年度コンスタントに同程度の利益が発生することが見込まれる場合です。
この場合は、毎年度コンスタントに損金を計上する方法が向いています。
何をおいても活用すべきなのは、「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」です。これは、本来の利用目的とは裏腹に、「節税」の手段として広く活用されてきているものです。
すなわち、経営セーフティ共済は、毎月(あるいは毎年度)一定の掛金を払い込んでいき、取引先が倒産して売掛金の回収が困難になった場合に掛金総額の10倍を限度として借入ができるという制度です。
しかし、実際には、取引先の倒産のリスクが低い業者も加入しています。それは、主に以下の3つのメリットがあるからです。
・掛金全額が損金算入できる
・3年4ヵ月以上加入すればいつ「解約」しても掛金全額を取り戻せる
・急な資金需要がある場合に掛金総額の一定割合の借入ができる
掛金は最大で月20万円までですが、向こう1年分の掛金(年最大240万円)を「前納」すれば、その年度の損金に算入することができます。ただし、総額800万円まで(掛金月額20万円(年240万円)なら3年4ヵ月まで)という縛りがあります。
3年4ヵ月以上加入したあとであれば、赤字の年度に解約して掛金総額に相当する「解約手当金」を受け取って穴埋めするなどの活用ができます。もしも活用方法がなければ、最後の最後に解約して退職金の原資にすることもできます。
そのほかに、一部の「法人保険」があります。法人保険は、かつては「決算対策」「節税対策」の定番でした。たとえば、保険料が全額損金になり、よいタイミングで解約すると保険料の90%が返ってくるような商品もありました。
しかし、2019年に制度改定(改悪?)がなされ、現在は、保険料の損金算入割合が高いほど、解約返戻率(解約したら保険料総額のうち何%が返ってくるか)が低く抑えられる制度になっています。
ただし、法人保険のなかには、保険料の一部が投資信託で運用され、運用実績に応じて解約返戻率が変動するものがあります。実績に定評のある運用方法を選べば、「全額損金」で10年前後で返戻率が100%に達する可能性もあります。
ポイント3|資金繰りに支障をきたさないようにする
3つめのポイントは、資金繰りに支障をきたさないよう注意することです。
とくに、ビジネスモデルとして、仕入による出費が先行し、あとで資金を回収する形をとっている場合は、仕入のため必要なキャッシュを絶対に確保しておかなければなりません。
たとえば、工事業や製造業、販売業がこれにあたります。費用が先にかかり、あとで回収する方法をとらざるをえないので、資金繰りを計算に入れて決算対策をしないと、最悪の場合破綻してしまいます。
また、新規事業を開始しようとしている場合には、そのぶんのキャッシュを確保しておかなければ、ビジネスチャンスをみすみす逃すことになりかねません。
このように、決算対策を行う場合は、それが会社のメリットになるか、会社の利益の発生状況に即した方法か、資金繰りに支障をきたさないか、シビアに計算して慎重に検討することが大切であるといえます。
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