(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年12月23日に発表された政府の「2023年度税制改正大綱」において、暗号資産(仮想通貨)のマイニングを行う「マイニングマシン」を用いた節税スキームが2023年4月から認められないことになりました。まだ間があるので、この機に活用を考える経営者も相当数いるとみられます。そこで、どのようなものなのか、解説します。

マイニングマシンを利用した節税スキームとは

マイニングマシン(mining machine)は、「ビットコイン」等の暗号資産(仮想通貨)のマイニング(mining:採掘)を行う機械です。

 

マイニングとは、日々行われている暗号資産の取引のデータ(トランザクション)を見つけ出して捕捉し、チェックして「承認」することをさします。マイニングを行うと、報酬を得ることができます。その報酬は暗号資産で受け取ります。

 

取引のデータを見つけ出すのは早いもの勝ちなので、あたかも鉱物を採掘(mining)するのになぞらえ、「マイニング」というのです。

 

マイニングを独力で行うのは骨が折れます。そこで、機械的にトランザクションを捕捉する「マイニングマシン」を利用します。

 

マイニングマシンは、販売事業者が預かり、まとめて稼働させます。なお、同一機種のマイニングマシン相互が協力しあい、得られた報酬を分配しあう形式がメジャーです。

 

以下のメリットがあるといわれ、法人の「決算対策」や富裕層の「節税対策」として人気があります。

 

1. マイニングマシンの価格全額を即時償却できる

2. 「手離れ」がよい

3. 暗号資産の将来性

 

以下、解説します。

 

◆メリット1|マイニングマシンの価格全額を即時償却できる

まず、マイニングマシンを購入した場合、「中小企業経営強化税制(B類型)」に基づき、価格を全額即時償却でき、一気に大きな費用を計上することができます。

 

たとえば、1台500万円のマイニングマシン3台(合計1,500万円)を購入したら、その全額を「即時償却」でき、当該年度に一気に費用計上できます。

 

なお、初年度に投資額の10%の「税額控除」を選ぶこともできます。計算上は税額控除を選んだほうが、トータルの税額を抑えることができます。しかし、実態としては大半が即時償却を選択しています。なぜなら、即時償却を選んだほうが、当座の税負担を抑え、手持ちのキャッシュを潤沢にできるからです。

 

◆メリット2|「手離れ」がよい

上述のように、購入したマイニングマシンは販売業者に預け、販売業者が管理・稼働を担当するケースが多くなっています。したがって、購入者は何もせず収益だけを獲得することができ、「手離れ」がよいといえます。

 

◆メリット3|暗号資産の将来性

さらに、暗号資産は少なからぬ人から、将来性があると考えられています。

 

既存の法定通貨とは異なる新たな決済の手段として、今後、普及していくという見方もあります。それに伴い、価格が大きく上昇する可能性があると考えられているのです。

 

また、4年に1度の「半減期」があり、その際に価値が上昇する可能性があるともいわれています。

 

なお、実体のないものなのでリスクが大きいという指摘もなされています。主に以下のリスクです。

 

・事業者が破綻した場合に最低保証がないリスク

・業者が顧客財産の分別管理に関する法令違反を犯すリスク

・盗難、サイバー攻撃等による暗号資産の紛失のリスク

 

しかし、暗号資産に将来性を見出す人は、これらのリスクについても、普及していく過程でいずれは克服されていくということを期待しています。

 

これらのことから、マイニングマシンへの投資は近年、節税の手段として注目され、利用が拡大してきていたのです。

 

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